投打にMLBで実績のある選手揃う 2018年ロッテ外国人チェック

ロッテのマット・ドミンゲス【写真:細野能功】

最下位からの再起へチェン以外は入れ替え

 昨年最下位に沈み、井口新監督の下、再起を期すロッテは、今季FA権を得て外国人枠を外れるはずだった右腕スタンリッジと4人の野手を放出して、MLBでそれなりの実績のある選手を揃えた。

 今季のロッテ外国人選手。成績はNPB通算。

◯投手
チェン・グァンユウ 27歳 NPB4年 9勝9敗4H 防御率3.51
オルモス27歳 (新加入)
ボルシンガー30歳 (新加入)
シェッパーズ31歳 (新加入)

 チェン・グァンユウ(陳冠宇)は、台湾の国立体育大学からDeNAに入団し、翌年ロッテに移籍。通算4年で9勝の左腕。当初は先発だったが、昨年は先発救援両方で起用され、3勝4敗4ホールド、防御率3.29。NPBの野球に適応しつつあるが、ポジションがはっきりしなかった。今年が勝負だろう。 

 オルモスは、193センチ100キロの左腕。2008年ドラフト3巡目(全体83位)でマーリンズへ。マイナーでは主として先発投手だったが、2013年にMLBに昇格してからは救援での起用が多かった。2014年にマリナーズに移籍。MLBでは2シーズンで1勝1敗、防御率5.21と結果を出せず。以後、オリオールズ、レッドソックスと渡り歩くがMLB昇格はならなかった。マイナー通算では、K9(9イニング当たりの奪三振数)は8.0だが、BB9(同四球数)も4.5。球威はあるが、制球力が課題か。キャンプインしてからインフルエンザに感染した。

 ボルシンガーは185センチ95センチの右腕。2010年ドラフト15巡目(全体451位)でダイヤモンドバックスに入団。先輩投手として頭角を現し、2014年にMLB昇格。この年は1勝6敗、防御率5.50とさえなかったが、オフにドジャースに金銭トレードとなり、2015年は開幕直後から7月末までローテーションを維持。9月にも先発で投げ、6勝6敗、防御率3.62とまずますの成績を挙げた。しかし、翌2016年は1勝どまり。8月にブルージェイズにトレードされるが、以後、MLB登板はなし。2017年は0勝に終わった。MLB通算8勝19敗、防御率4.92。いわゆるカットボーラーで、制球力はまずまず。しかし被本塁打が多かった。先発での起用が予定される。

 シェッパーズは193センチ91キロの右腕。プロ入り前は傑出した選手で、2度のドラフト指名があったものの入団せず、2009年ドラフト1巡目(全体44位)でレンジャーズに入団。2012年にMLB昇格。2013年にはセットアッパーとして76試合に登板し、6勝2敗1セーブ27ホールド、防御率1.88の活躍で注目された。

 翌2014年は先発に転向し、開幕投手を務めたが4回自責点7で降板。以後も結果を出せず、負傷離脱などもあってその後は救援投手に戻るが、ぱっとしないまま2017年オフにFAとなった。通算成績は12勝7敗、防御率4.23。この投手の魅力は何といっても100マイル(約161キロ)近い速球、2シームもある。NPBのしぶとい打者をねじ伏せることができれば、面白い存在になるだろう。

ドミンゲスは2007年の米ドラフト全体12位

◯内野手
ドミンゲス28歳(新加入)

 ドミンゲスは185センチ、97キロの右打ちの内野手。高校から、2007年ドラフト1巡目(全体12位)でマーリンズに入ったエリート選手。長打力に加え、三塁手としての守備能力も高く評価された。2011年にMLBに昇格。翌年にはカルロス・リーとのトレードでアストロズへ。2年目の2013年にチーム2位の21本塁打、77打点を挙げる。

 翌年も16本塁打を打つが、打率は.215。出塁率は.256。粗っぽい打者という評価となった。翌年に戦力外となり、ブリュワーズ、ブルージェイズ、レッドソックスと渡り歩くがこの間のMLB出場はブルージェイズの5試合だけ。今年になってロッテと契約した。マイナーでもずっと三塁を守り、守備面では戦力として期待できる。長打もあるが、問題は「粗さ」を克服できるかだろう。

 また、ロッテはこの他に春季キャンプに参加しているフランシスコ・ぺゲロも正式契約となる見込み。183センチ86キロの右打ちの外野手。ドミニカ共和国出身。2006年、ジャイアンツに入団。マイナー8年目の2013年にMLBに昇格した。マイナーではシーズン2桁本塁打は1度だけ。長距離打者ではなかったが、盗塁は多い。

 MLBでは35試合に出たが先発は9試合だけ。代打、守備固めが中心。MLB通算は1本塁打1打点、打率.200。2014年オリオールズに移籍するも、オフにFAとなり、以後はメキシカンリーグでプレー、昨年はルートインBCリーグ、富山に所属し、297打数115安打20本塁打52打点、打率.387を記録。同リーグのシーズン安打数記録を塗り替えた。

 MLBのマイナー通算打率は.302、アベレージヒッターだ。しかし、早打ちで四球が少ない。これがMLBで生き残れなかった原因だろう。しかしチャンスを与えられれば、意外な活躍をする可能性はあるだろう。

 新外国人はいずれもMLBで短期的に活躍した経験を有している。この経験を活かすことができれば、期待できるだろうが、欠点をいかに克服するかが課題になる。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

© 株式会社Creative2