2月9日午後に噴火警戒レベルが引き上げられた、宮崎・鹿児島県境の霧島山(御鉢)では、9日に発生したものと同様の火山性地震がその後も観測されています。9日夕方に復旧した御鉢火口近傍の高千穂峰観測点のデータを加えてこれらの地震を精査した結果、9日以降の地震は御鉢の南西側で発生したと推測されます。
火口縁を越える噴煙は観測されておらず、傾斜計による観測では、御鉢の明瞭な山体膨張を示す変動は認められていません。また、9日に気象庁機動調査班(JMA-MOT)が実施した現地調査では、これまでの観測と比べ、火口内の噴気や熱異常域の状況に特段の変化は認められませんでした。
気象庁では、霧島山(御鉢)の噴火警戒レベル2(火口周辺規制)を継続し、火口から概ね1kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石に警戒しするとともに、噴火時には、火口の風下側では火山灰や小さな噴石が遠方まで風に流されて降るおそれがあるため注意するよう呼びかけています。
【火山性地震、火山性微動の発生回数】(速報値含む)
火山性地震 火山性微動
2010年 103回 2回
11年 34回 0回
12年 31回 1回
13年 58回 7回
14年 25回 26回
15年 190回 4回
16年 59回 2回
17年 22回 0回
18年
1月 10回 0回
2月 8日 2回 0回
9日(00~08時) 0回 0回
(08~12時) 37回 0回
(12~16時) 41回 2回(14時台)
(16~24時) 4回 0回
10日 11回 0回
11-13日 0回 0回
14日 84回 0回
15日 7回 0回
16日(00~15時) 6回 0回
◆用語解説「火山性地震と火山性微動」
・火山性地震は、火山体およびその近傍で発生する地震の名称で、地下でなんらかの破壊現象が起きて発生すると考えられている。
・火山性微動は、火山に発生する震動のうち、火山性地震とは異なり震動が数十秒から数時間も継続する、波形の総称。地下のマグマやガス、熱水など流体の移動や振動が原因と考えられており、噴火に伴う微動もある。
◆霧島山(御鉢):最近の火山活動の状況
<2007年>
・12/01 噴火予報・噴火警戒レベルの運用を開始 噴火警戒レベル1(平常/活火山であることに留意)
<2014年>
・1月~ 3月にかけ継続時間の短い火山性微動が一時的に増加も、年間を通して火山性地震は少ない状態で推移
<2015年>
・7月~ 16年2月頃にかけ火山性地震が増加
<2016年>
・12/06 火山性微動を観測