「平和教育に大学生を」RECNA中村准教授が講演

 被爆地の平和教育を考える講演会が16日、長崎市平野町の長崎原爆資料館であった。長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA)の中村桂子准教授は「小中学校の平和教育は子どもたちの将来につながるステップとなる。ともに核廃絶の方法を探っていきたい」と話した。

 市は、平和や原爆について主体的に思考、発信する児童生徒を育むことを目指し、2018年度に平和教育の再編を本格化させる。講演会は再編について理解を深めてもらおうと市教委が開催。市内小中学校の教職員やPTA関係者ら約200人が聴講した。

 中村准教授は、平和教育によって核問題に関心を持った長崎の大学生でさえ、実際にはなかなか行動に移せていない現状を説明。「児童生徒への平和教育に大学生を活用すれば、双方を育てることができる」と提案した。

 同館の中村明俊館長も講演。太平洋戦争が話題になることが少なくなり、今は「被爆体験を継承しにくい環境」と分析。核廃絶を他の人に共感させるためには核兵器禁止条約などの「論理」が大切だとし「次の世代に物語っていく、前の世代の話を聞くというつながりの中で人間社会は良くなる」と話した。

平和教育について講演する中村准教授=長崎原爆資料館

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