針尾の赤マテ貝 漁環境守ろう 佐世保 漁協などが「保全の会」

 佐世保市針尾地区の特産品「赤マテ貝」の漁環境を守ろうと、地元の針尾漁協やキリン、市、長崎大水産学部などは17日、「保全の会」を発足した。地元食材の魅力を磨こうとキリンが主導し進めているプロジェクトの一環。

 赤マテ貝は針尾瀬戸の海に生息する希少な二枚貝。2~5月が漁期で、10年ほど前は約30トンが水揚げされていたが、近年は約20トンと減少傾向にある。保全の会では謎が多い生態の解明や漁の見直しを行う。

 赤マテ貝の漁は、返しがついた数十本の「かぎ針」(長さ約70センチ)を船上から海に沈め、海底の貝を突き刺す伝統漁法が用いられている。長崎大水産学部の調査では、刺した貝の半数が海底に残ったままになっており、保全の会ではかぎ針の改良や漁期の短縮を検討する。漁師は4人で平均年齢が60歳を超えているため、後継者育成にも力を入れる。

 また、約2年前に全国放送のテレビで取り上げられて以降、需要が供給を上回る状態が続いており、ブランド化と価格引き上げに取り組む。

 針尾漁協の平野重美組合長は「需要は問題ないが資源が少なくなってきている。特産品と伝統漁を後世に残したい」と話した。

希少な針尾の赤マテ貝

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