ホークスにも“死角あり” 平成唯一の3冠王・松中氏が語る2018年パの展望

松中信彦氏が今季のパ・リーグの展望を語る【写真:福谷佑介】

「優勝候補は間違いなくホークス」、松中氏が語る打倒・王者への道

 プロ野球の12球団がキャンプインしてから、早いもので2週間以上が経過した。米アリゾナ州で1次キャンプを行ってきた日本ハムは帰国し、2次キャンプ地の沖縄・名護市へ。巨人や広島の1軍もそれぞれ沖縄・那覇市、沖縄・沖縄市へとキャンプ地を移し、2次キャンプをスタートさせた。ここから各球団は徐々に実戦モードへと移行。紅白戦や練習試合を中心に2月下旬から始まるオープン戦に向けて調整の段階を上げていくことになる。

 昨季はソフトバンクが2年ぶりに頂点に立ち、そのまま日本一まで突っ走ったパ・リーグ。2年連続の日本一を狙うソフトバンクが今季も戦いの中心にはなるだろうが、果たして王者を止める球団は出てくるだろうか。かつて、そのホークスでプレーし、2004年には3冠王に輝いた松中信彦氏。現在は解説などを務める“平成唯一の3冠王”が、2018年のパ・リーグの展望を語った。

「優勝候補は間違いなくホークス。これだけの戦力があり、特にピッチャー陣がいい。死角はほぼない。ただ、全くないかと言えば、そうではない。探せば、あると僕は思います」という松中氏。まずは、ホークス以外の5球団を簡単に分析してもらった。

 松中氏がまず、ホークスの対抗馬1番手に挙げたのは楽天だ。

「やっぱり野球は投手。ホークスを倒せるとしたら、投手がいいチームだろうと思います。となると、まずは楽天でしょうか。則本、岸の2枚看板がしっかりしているし、ある程度去年はいい勝負をしていたわけですからね。基本ホークスは去年と戦力は変わらない。となると、楽天は去年からどれだけのプラスアルファが作れるか。安楽や藤平、ルーキーといった若い子たちがどれだけ出てくるか。それによっては面白い戦いになるかなと思います」

楽天の対抗馬に挙げるのはオリックス、「新戦力が結果を残せれば面白い」

 昨季2位だった西武については「やっぱりピッチャーでしょうね。山川や源田といった若い野手は育ってきている。野上が抜けた中で、どれだけ投手が頑張れるかにかかっている」とし、楽天に続く対抗馬に挙げたのはオリックス。「そう考えると、投手の枚数的にいそうなのはオリックス。金子、西、ディクソン、山岡をはじめ面子はいる。これに田嶋やアルバースといった新戦力が加わって、結果を残せれば面白い。増井が後ろにはいるし、黒木もいる。7回まで、どれだけ頑張って少ない点数に抑えていくか。外国人含め打線はいい」とした。

 大谷翔平がポスティングシステムでエンゼルスに移籍し、FAで増井浩俊がオリックス、大野奨太が中日に移籍した日本ハムはどうか。「日本ハムは正直、キツイでしょうね。大谷が抜けて、マーティンもチームを離れた。今季はキツイんじゃないかな。でも、これが2、3年後になると選手が育ってくるんだよね、日本ハムは」と語り、昨季最下位に終わったロッテは「外国人次第かな。日本人だけではやっぱり戦力的には厳しい。外国人が働かないと、なかなか浮上してこないかな」とし、ボルシンガー、シェッパーズ、ドミンゲスら助っ人がチームの命運を左右すると予測した。

 その中で、どう戦えば、他5球団が目指す“打倒ホークス”を叶えることが出来るのだろう。松中氏は1つの戦い方を示す。

「8月、9月までにホークスと1ゲーム差とかに持ち込んでおかないといけない。そうなるとホークスも焦ってくるでしょう。焦ってくれば、ホークスといえど色々なことが起こり得る。それが(日本ハムが優勝した)2年前。そういう展開に持ち込んでいかないと、普通に戦っても、あれだけの戦力を誇るホークスには敵わない」

松中氏が見る「打倒・ホークス」への道、「エース級はそう簡単に打てない」

 では、どうするべきか。

「となると、他の5球団は包囲網みたいなことをしないといけない。1チームだけで倒そうとしても難しいでしょう。各球団がエース級をホークスに当てて、残りの投手で他球団とやりあって、どれだけ勝てるかの勝負にする。それを夏場までやるべきではないかなと、僕は思います。どれだけいい打者であっても、エース級が来れば、そう簡単には打てないもの。夏場にホークスと10何ゲーム差もついていたら、見ている人も面白くないでしょう。夏場までは競った展開に持ち込んで、そこからの残り試合を全力でやって、どこが抜け出せるか。1対1で太刀打ち出来る球団はない。5球団で束になっていかないと、ホークスを倒すのは難しい」

 松中氏は、他球団がタッグを組み“ホークス潰し”を徹底することがリーグ優勝に近づく道だと見ている。

 圧倒的な戦力を誇るソフトバンク。それに立ち向かう楽天、西武、オリックス、日本ハム、ロッテの5球団。ソフトバンクが2年連続で頂点に立つのか、はたまた松中氏の言うような包囲網の末に、どこかがソフトバンクを王座から引き摺り下ろすのか。どんな戦いになるか、注目だ。

(Full-Count編集部)

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