【シネマプレビュー】 リバーズ・エッジ

映画「リバーズ・エッジ」の一場面 ©2018「リバーズ・エッジ」製作委員会/岡崎京子・宝島社

 1990年代に描かれた岡崎京子の伝説的な漫画を、「世界の中心で、愛をさけぶ」の行定勲監督が実写映画化した。高校生の若草ハルナ(二階堂ふみ)は、恋人の観音崎(上杉柊平(しゅうへい))にいじめられていたゲイの同級生、山田(吉沢亮)を助けたことから、奇妙な友情で結ばれる。ある日、山田に河原まで連れていかれたハルナが見たのは、人の死体だった。

 この3人に加えて、森川葵、SUMIRE、土居志央梨(しおり)といった若手俳優がどろどろの青春模様を演じるが、違和感を覚えるのは彼らがまるで高校生に見えないということだ。行定監督はあえてそこを狙ったのだろうが、一方でところどころ、登場人物たちへのインタビューという虚構の映像を挟み込み、現実離れした物語に妙な現実感を漂わせる。監督が違和感を前面に押し出して伝えたかったのは、人間の奥底に宿る悪意か、きれいごとでは語れない世の中への皮肉か。この実験的な試みに、文字通り体を張って全力でぶち当たっていった若い役者陣の気迫は、一見の価値がある。

続きは、http://www.sankei.com/entertainments/news/180216/e...

© 株式会社産業経済新聞社