医療的ケア児支援強化 川崎市

 川崎市は2018年度から、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアを必要とする子ども(医療的ケア児)が地域の市立小中学校に通いやすくなるよう、看護師の巡回事業を大幅に拡充する。親の付き添いの負担軽減へ向け、必要と判断されれば看護師が最大で週5日、1日何回でも巡回する。子どもが学校にいる平日は看護師がケアできるようになる。

 同市では現在、小中学校と、看護師が常駐していない特別支援学校に在籍する計14人の医療的ケア児を対象に、訪問看護ステーション9カ所の看護師が巡回。ただ、巡回は1人につき、週2回90分ずつか、週1回180分のどちらかが上限となっている。

 必要なケアの回数が多い子どもの場合、親が一日中学校で付き添うケースもあり大きな負担となっている。このため18年度は巡回を必要に応じて最大で月曜から金曜まで週5日、1日に30分単位で複数回訪問できる態勢を整える。18年度当初予算案に前年度当初比約2500万円増の約4100万円を計上した。

 18年度に巡回の対象となる医療的ケア児は14、15人になるとみられ、市教育委員会は訪問が必要な時間や回数を調査し実情を把握。親の付き添いの負担が地域の学校に通う壁になっている状況の改善を図る。

 同市教委指導課は「市内全域で平日は看護師が対応する。その子に合った学びの場で学習できるよう支援していく」と話している。

 地元の小学校に医療的ケア児の次女を通わせる同市宮前区の母親(48)が昨年6月、付き添いの負担軽減のため、学校に常勤の看護師を配置するよう求める請願を市議会に提出。同10月の市議会文教委員会で、全会一致で趣旨採択されていた。

 請願を提出した母親は「本当にありがたい。常勤の看護師ではないが、新しい巡回方法なら付き添いなく娘が学校に通えそう」と期待している。

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