米商務省、鉄鋼とアルミの輸入規制を232条で3案を提示

4月にも大統領判断

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 米国商務省は現地時間16日、通商拡大法232条を適用した鉄鋼とアルミに対する輸入規制措置について、トランプ大統領へ原案を提出したと発表した。鉄鋼、アルミとも輸入関税の引き上げや輸入数量割当(クオータ)制の導入など各3案を提示している。4月にもトランプ大統領はこれら案から具体策を選定し最終判断する。

 商務省は鉄鋼に関し(1)全ての国から輸入される鉄鋼に最低24%の関税を課す(2)ブラジル、中国、コスタリカ、エジプト、インド、マレーシア、韓国、ロシア、南アフリカ共和国、タイ、トルコ、ベトナムの12カ国に対しては最低53%の関税を課し、他の国には2017年の対米輸出量を上限としたクオータ制を設ける(3)全ての国に17年の対米輸出に対して63%の数量を上限とするクオータ制を導入する―の3案を示した。トランプ大統領は4月11日までに決定を下す。

 商務省は米鉄鋼メーカーの設備稼働率が73%にとどまり、再生産可能な水準とされる80%に到達していないと指摘。既存の輸入対抗措置に加え、関税やクオータ制の導入で輸入材を約1330万トン減らし、米ミルの生産を増やす狙いとしている。

 対象から除外する品目については「影響を受ける米国内の当事者から申請を受け付ける」としており、輸出国側の訴えは認めない考え。昨年5月に開かれた公聴会のように、仮に発動となった場合、日本側は米国現地の顧客や海外事業会社での働き掛けに依ることとなりそうだ。

 通商拡大法232条はトランプ政権が米国の鉄鋼やアルミ産業が輸入材によって脅かされているとし、昨年から導入が議論されてきた。商務省は「米国鉄鋼業が生産能力を失い国家の安全保障が脅かされるならば、特別な鋼材を除き米鉄鋼メーカーが求めている措置導入は認められる」と結論づけた。

 ただトランプ大統領が発動に踏み切ればWTOルールに反する保護主義的な政策として各国からの批判が強まるのは必至。日本鉄鋼連盟の進藤孝生会長(新日鉄住金社長)は19日に遺憾の意を表明し「各国が長年にわたり築いてきた自由貿易体制は世界経済の持続的発展のためにも維持すべきだ」と訴える声明を出した。

 米商務省の発表に対し、欧州鉄鋼協会(ユーロフェル)や中国当局も批判の声を上げており、米側の判断次第ではセーフガードなどの対抗措置が広がる応酬合戦となる恐れがある。