<再ブレーク盤> NONA REEVES『MISSION』 ほかの歌手の参加で“good music”感を増幅

NONA REEVES『MISSION』

 メジャー・デビュー20周年記念のオリジナル。90年代後半、FMを中心に人気を博し、その後数度の会社移籍を経て本作で原点回帰した結果、自己最高の売上順位(週間42位)をマークした。

 全11曲中、マイケル・ジャクソンなど当時の洋楽への敬愛ゆえと思われるディスコ調の楽曲と、ビートルズ系統の穏やかな楽曲の2軸が際立つ。特に前者は、よりギター演奏を特長づけた『ヴァンパイア・ブギーナイツ』から、よりポップな『Sweet Survivor』、より派手に仕上げた『O-V-E-R-H-E-A-T』と持ち札が多い。他にも、チークタイムに似合いそうな『Glory Sunset』は、多重コーラスの効果もあって、明日への希望に導かれる。サニーデイ・サービスの曽我部恵一やクラムボンの原田郁子など、雰囲気を大切に出来る歌い手が参加したことも作品の“good music”感を増幅している。

 近年、代表曲『エイリアンズ』がカバーにより再評価されているキリンジのファンにもオススメ。上質にこだわればそのご利益が長い年月を経て得られることを本作から学ぶはず。

(ワーナー・3000円+税)=臼井孝

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