新嬉野市長・村上大祐氏(35)に聞く 新幹線「全線フル」で飛躍へ

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 1月の佐賀県嬉野市長選で元佐賀新聞記者、村上大祐氏(35)が初当選を果たした。公約に掲げた九州新幹線長崎ルートの全線フル規格化をどう実現するのか、隣県・長崎の自治体とどう連携するのかを聞いた。

 -なぜ全線フルを目指すのか。

 フリーゲージトレイン(FGT、軌間可変電車)開発は困難というのが大方の見方である以上、それを前提にしたまちづくりはできない。それより、関西圏と直通するフル規格の方が開業効果を最大限に高められる。大きな荷物を抱えた観光客が乗り換え無く利用できるし、企業誘致の弾みにもなる。嬉野は佐賀県有田や鹿島、長崎県東彼3町の最寄り駅、交通の要衝として飛躍するチャンスだ。

 -現行計画では、長崎-武雄温泉のみフル規格にして、武雄温泉-新鳥栖は在来線を複線化する「リレー方式」を採用し、2022年度に暫定開業する。

 リレー方式が固定化されれば、乗客が武雄で乗り換えるので、隣の嬉野には降りてくれなくなると懸念している。

 -だが全線フルには、佐賀県が追加負担を800億円と見積もり難色を示している。FGTを前提に駅前再開発を進める佐賀市なども慎重姿勢だ。

 両県が負担を押しつけ合うのは不幸であり、避けたい。そもそも整備新幹線は国策。FGT開発という前提が崩れたならば、国の責任で財源負担スキームも見直すべきだ。恩恵を受ける事業者のJR九州も交え、800億円にまで膨らませないよう交渉する余地はあるはず。佐賀市でも経済界には全線フルを求める声が強い。県全体に効果をもたらせるよう、官民で一致点を探りたい。

 -嬉野温泉駅(仮称)周辺整備は進んでいるか。

 国立病院機構嬉野医療センターが来年5月に移設開業する。駅舎は降り立った瞬間に「癒やしと健康のまち」だと感じられるようにしたい。例えばホームに沿って茶畑をつくるとか、民間から個性的なアイデアをいただいており、これから具体化させる。

 -長崎県内自治体との連携は。

 これからも長崎ルート沿線5市(武雄、嬉野、大村、諫早、長崎)でスクラムを組んで推進し、さらに周辺にも呼び掛けたい。嬉野は、佐世保を中核とする連携中枢都市圏の入り口となる。川棚との県道直通を実現し、ハウステンボスやクルーズ船の客を周遊させたい。そのぎ茶や波佐見焼は最近元気があり、嬉野茶や有田焼にも刺激になっている。松浦の魚市場も新しくなる。この地域は大きな可能性を秘めている。

【略歴】むらかみ・だいすけ 広島県出身。九州大法卒。佐賀新聞では嬉野市・杵島郡や農林水産、大学などの取材を担当した。伊万里支局長だった昨年9月に退職し、嬉野市長選に出馬表明。新市誕生から3期12年務めた現職が引退し、新人3人による争いを制した。将棋はアマ二段相当の腕前。妻、2児と市内に暮らす。

九州新幹線長崎ルートの全線フル規格化で開業効果を最大限に高めたいと語る村上市長=佐賀県嬉野市役所