『小泉放談』小泉今日子著 パイセン達とガップリ四つに

 ずっと好きだったんだけどな、キョンキョン。古くは午後ティーのCMとか(トランク欲しかった~)、JR東日本の房総ビューエクスプレスのCM(潮風が、呼んでいる)とか好きだったし、ヘタウマの歌だって、大好きな背中を思い出しながらよく口ずさんでた。エッセーだって素敵なんですよ。そんなキョンキョンことキョンツーこと小泉今日子。最近やれ不倫だ離婚だなんだかんだって、世間を騒がせていますよね。友達のマミちゃん曰く、彼女のファンは「らしいよね、あの公表の仕方」って言ってるらしいです。が、私にはよくわかんない。あれ、キョンキョンらしいのかな。じゃあキョンキョンらしさって、なんなんだろうな。そんなことを思いながら、この本を手に取りました。

 雑誌「GLOW」での連載を一冊にまとめた本書。「大人の生き方を考える放談集」というテーマで、人生のパイセン達とのおしゃべりをまとめた対談集だ。

 盟友YOUに始まり、上野千鶴子に美輪明宏、湯山玲子に吉本ばなな、片桐はいりになんと小池百合子まで。個性豊かな面々とガップリ四つに組んでいる。

「ボクシングとかやって体重落として、短パンはいて、『祭だ!』って」(吉本ばなな)

「自分と違う人だなと思っても『この人にもそれなりにいろいろあったんだろう』って、ちょっと人にやさしくなれる感じ?」(浜田真理子)

「私には、世の中にうらやましい人なんて、一人もいない」(美輪明宏)

「今のままじゃダメだって言われたから、私、顔にほくろつけたり……」(広田レオナ)

「人と同じことをしていても幸せになれないし、人と同じことをしているからといって安全でもない、他人と同じことをしても、誰も最後まで面倒を見てくれない」(小池百合子)……。先輩達の言葉は、経験で培われたものと葛藤してきた過去と直感とが合わさって、ユニークで明るくて、とにかく優しい。

 キョンキョンが今回の騒動でなにをつたえたかったのか、どんな思惑があるのか、本書にヒントがあるかと思ったけど、結局のところよくわからなかった。けれど、先輩達の言葉を真摯に受けるキョンキョンの姿勢から、日々を迷いながら、でも軽やかに、笑いながら進んでやるやという気概が感じられた。やっぱ好きだわ。

(宝島社 780円+税)=アリーマントワネット

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