【非鉄流通のいま】〈銅線・銅板メーンの非鉄問屋、スガアオキ〉 試作加工ではEV用材料も

 スガアオキ(社長・青木伸壽氏)は、創業1957年、87年設立の非鉄問屋。先代の故青木壽賀三氏は日本伸銅に長年勤務した。壽賀三氏はその後に独立し、非鉄問屋「青木壽賀三商店」を興した。現社名への商号変更は87年。

 青木伸壽社長は壽賀三氏の長男。大学卒業後に旅行代理店勤務を経て、86年にスガアオキに入社した。「当社の特長は非鉄流通にとどまらず試作加工を手掛けている点だ。試作加工は銅・銅合金ワイヤをメーンに、真ちゅう板などで引合いがあり、非鉄問屋として一定の在庫を持つことと、これまで培ってきた製造ノウハウを生かし、需要家の要望に短納期で応えている」(青木社長)。

 足袋のコハゼ外周線は同社オリジナル製品。試作では電気自動車(EV)用材料などを手掛ける。かつてはブレーキライニング用真ちゅう線を製造していたこともある。

 登記上の本社は枚方市だが、実質的な拠点は「大阪営業所兼大阪倉庫・工場」である大阪市東成区深江北3―20―22。敷地面積は1200平方メートル、建屋は一部2階建てで延べ床面積が1500平方メートル。

 主要設備は連続伸線機2台、細線用連続伸線機4台、単釜伸線機(中間サイズ)2台。ローラー式伸線機5台、焼鈍炉3機、酸洗設備1台、乾燥機1機。公害防止装置など。

 約30年前には、和歌山の2工場で金網などを生産、年間売上高も約20億円計上していた。ただ、円高進行など経営環境の激変に伴い2002年に和歌山の2工場を閉鎖、リストラも行った。「この時、メーカーよりも流通の方が厳しい経営環境下では抵抗力があると実感した。在庫を持つ強みを生かしつつ、試作屋として生きていければ面白い」(同)。

 17年5月期業績は売上高4億600万円、経常利益1千万円だった。売上高比率はワイヤが95%、板が5%。

 試作に関して、特に宣伝はしていない。青木社長以下、社員たちはこれまで培ったノウハウを活用し、段取りしていくのだという。

 「単に売り上げを追うことは考えていないが、売上高経常利益率は20%以上を目標としている。人員体制については2人ほど補充したいと考えている」(同)と話す。(白木 毅俊)

会社概要

 ▽資本金=2千万円

 ▽年商=4億600万円(17年5月期実績)

 ▽本社=大阪府枚方市香里ケ丘8―31―12

 ▽社長=青木伸壽氏

 ▽TEL=06―6976―0866

 ▽主な扱い商品=銅線、銅合金線、銅板、真鍮板などの伸銅品、アルミニウム、非鉄製品。銅線・銅合金線や真ちゅう板などの試作品の製作。

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