東京製鉄、韓・東国製鋼と提携 電炉鋼材の普及拡大へ、株式1%を相互保有

 東京製鉄(社長・西本利一氏)は23日、韓国2位の電炉メーカー、東国製鋼(代表理事副会長・張世郁氏)との資本・業務提携を決めたと発表した。電炉メーカーの両社が互いの強みを生かして電炉鋼材の一層の普及を図るほか、製造技術や品質、省エネなどで交流を進め、鉄スクラップの高度利用と低炭素社会の実現に貢献していく考え。両社は同日付で資本提携契約を締結。約1%の株式を相互保有する。東鉄が資本・業務提携するのは初めて。

 両社はこれまで相互に工場見学を行うなど技術的な交流関係があった。そうした中、環境に対する考えなど共通認識も多いことから業務提携の話が進んだ。

 両社の提携内容は(1)鋼板、条鋼製品および半製品分野の取引(2)製造技術、製品品質、低炭素・省エネ省資源などに関する技術・人的交流―としている。製品に関しては、東鉄はH形鋼のジャンボサイズで、東国は大形サイズの棒鋼や表面処理鋼板など鋼板の川下品種で、互いに補完できる。ただ、製品取引などの具体的な内容は今後詰めていくとした。

 資本提携では東鉄が東国の自己株式123億ウォン(約12億円)を取得、東国は東鉄の株式142万株(発行済み株式の0・92%)を市場で取得する。

 東鉄は国内4工場(田原、岡山、九州、宇都宮)で、18年3月期の鋼材販売量は240万トンを見込む。18年3月期通期は売上高1650億円、経常利益130億円の予想。

 東国は韓国初の民間製鉄会社で、国内に5工場(仁川、浦項、唐津、釜山、新平)を有する。張一族のオーナー経営でJFEスチールが15%出資している。電炉による棒形鋼事業と、外部から原板を調達する厚板事業、冷延鋼板事業の3部門を主力とし、17年の生産量は棒形鋼が約400万トン、厚板が約80万トン、冷延やめっき、カラー鋼板が約160万トン。韓国電炉メーカーでは現代製鉄に次いで生産量2位。鉄鋼メーカーとしてはポスコ、現代製鉄に次ぐ3位。

 近年の東国は棒形鋼が好調で、電炉事業の比率が高まっていた。17年12月期連結決算はブラジルのスラブ事業で償却負担が重く、最終損益で195億ウォンの赤字(約20億円赤字)。

 東国側は「東鉄とは1995年から製品、原料、技術分野で非定期的な交流は行ってきたが、昨今の鉄スクラップを活用した環境に優しいリサイクルという使命に共感が強まり、事業面での相乗効果を高めるべく今回の提携を結ぶことにした」としている。

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