金属行人(2月26日付)

 長らくニッケル価格の重しとなっていたLME(ロンドン金属取引所)在庫が着実に減少してきている。足元では2014年9月以来、およそ3年半ぶりとなる33万トン台まで減少。昨年は年間を通しておおむね37万~38万トン台で推移していたが、今年に入ってから1カ月半で約3万トン減少した▼ニッケル在庫は中国の含ニッケル銑鉄の増産など世界的な供給過剰を背景に、11年の8万3千トン台を底に増加が続き、15年には過去最高の約47万トンまで膨れ上がった。その後はニッケル価格の低迷やインドネシアの未加工鉱石輸出禁止の影響などで供給の伸びが抑えられたが、本格的な在庫減少に向かう勢いはなかった▼だが、長期の価格低迷で新規の大型開発案件が停滞し、今年のニッケル需給バランスも3年連続の供給不足見通しにある中で在庫の減少もいよいよ本格化してきたようだ。中長期的には世界的な電気自動車の普及加速による電池向けの需要拡大もニッケル需要に追い風となる▼需給環境の改善などから価格も昨年6月から上昇に転じ、半年前に比べ50%超高い水準で推移している。さらなる一段高の展開となるにはもう少し材料が必要となりそうだが、ようやく一息つける水準になったところ。このあたりで安定推移してもらいたい。

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