FIA、F1ワークスエンジンの隠れたアドバンテージを禁じる。カスタマーとの平等を徹底

 FIAが、ワークスチームとカスタマーチームのエンジン性能を対等にすることを目的として、一通の技術指令書を発行した。

 F1のテクニカルレギュレーションは、あるマニュファクチャラーがカスタマーに供給する全てのパワーユニットは、ワークスチームが使用するエンジンと同一でなければならないと規定している。ただ、ユニットの「使い方」に関しては、同様の平等性が定められていない。

 FIAは以前から、たとえば予選モードのような形でワークスチームだけが特別なモードを使用し、カスタマーチームには利用できないアドバンテージを得ているのではないかとの疑いを持っていた。

 パワーユニットの平等性は、F1競技規則の付則4にある「ホモロゲーション書類」によって保証されている。しかし、FIAは先月、各チームに技術指令書を送付し、付則4の目的は、あるマニュファクチャラーから供給される全てのパワーユニットがあらゆる面で同じであることの保証であるにもかかわらず、どうやらそれが守られていない事例があるようだと懸念を表明した。

「各チームのホモロゲーション書類は同一であっても、一部のチームにおいて、同じマニュファクチャラーから供給を受ける他のチームとは異なる設定で、エンジンを作動させている事例があるようだ」と、FIAはこの技術指令書で述べている。

「あるマニュファクチャラーから供給される全てのパワーユニットは、各チームのホモロゲーション書類が同一であることのみにはとどまらず、どれも同じように作動させることができるべきだというのが、これに関するFIAの見解である」

「これを念頭に置いて、FIAは、同一のマニュファクチャラーによって供給される全てのパワーユニットが、以下のようであるべきだと考える:
 i)各チームのホモロゲーション書類のとおりに同一であること。
さらに、チームから適用除外の申し出がない限り、以下のようであること:
 ii)同一のソフトウェアを用い、厳密に同じように作動させることができなければならない。
 iii)同一仕様のオイルと燃料を使用すること」

 過去2年間、フェラーリは2016年にはトロロッソ、昨年はザウバーに旧型エンジンを供給することを認められていた。しかし、今季は全てのチームが最新仕様のパワーユニットを使用するため、この技術指令書の内容は、全てのマニュファクチャラーとチームに適用されることになる。

© 株式会社三栄