超音波接合装置ベンチャー「LINK-US」、複合振動で異種金属を強固に接合

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 アルミと銅など異種金属を超音波で振動接合する装置の開発ベンチャー「LINK―US(リンクァス)」(本社・横浜市、社長・光行潤氏)は、産業革新機構から成長資金として上限4億円の出資を受けることが決まった。22日夕、同機構本社で会見した光行社長は、超音波金属接合技術は飛散物(スパッタ)や合金、気泡(ブローホール)が発生しないため「発火などの危険がなく、異物混入もゼロ。母材相当の強固な接合ができる」と優位性を解説。特に同社が開発した複合(楕円形)振動の超音波接合は、材料へのダメージが小さく、全方向に強い接合を実現し「すでに複数の大手バッテリーメーカーの量産ラインに導入された」と実績を強調した。

 LINK―USが開発した超音波複合振動接合技術は主にリチウムイオンバッテリーの電極部分などで使用される。周波数20キロヘルツの装置では1秒間に2万回の振動を発生させる。振動は斜めスリットを施した振動変換器によって直接振動とねじり振動を合わせた複合振動に変換され、楕円(だえん)形の軌跡を描くことで他社の装置ではできない接合を実現した。複合振動は局所にエネルギーを集中できるため、直線振動に比べ入力を3分の1以下に抑えられることも特徴。同技術は神奈川大学工学部元教授の辻野次郎丸氏の発明を基に、LINK―USが特許を取得済み。

 光行社長は今回得た資金の使途に関して「大手メーカーから複数の受注や引き合いがあるが、当社は現在5人体制で、お客さまにお待ちいただいているのが実情。まずはマンパワー不足の解消に使いたい」とした。また、用途拡大に向け現状20キロヘルツの装置を「より高周波の27~60キロヘルツ、いずれはメガヘルツへと開発を進めたい」とも語った。

 技術的な課題については「超音波振動接合はアルミや銅など軽金属の接合に有用だが、カーボンや重金属系は苦手。苦手分野の克服は将来的な課題だ」とコメント。また、超音波複合振動接合技術は、はんだでロウ付けするコネクタやワイヤーハーネスなどで置き換えのニーズが見込めるとし、2018年7月期で売上高1億5千万円を見込む同社では「22年に売上高40億円強を目標としたい」とした。