新しいサッカースクール経営を目指す!大学4年生の辻本拳也さんにインタビュー

 首都圏には子どもを対象にしたサッカーチームやスクールが豊富にあります。サッカーでプロを目指す子どもたちから、友達と楽しむためにサッカーをプレーしたい子どもたちまで、ニーズに合わせてスクールを選択することが可能です。

 そんなサッカー指導の場の激戦区で「新しい」サッカースクール経営の道に切り込もうと挑戦中の大学生指導者がいます。

 幼少期からサッカーに打ち込み、直近は東京都北区、社会人サッカーリーグ2部のチーム「スペリオ城北」のセカンドチームで選手を経験。そして、現在サッカーフットサルウェアのアパレルブランド「FOOT NINJA」のサプライヤーを務めている、帝京大学4年生、辻本拳也さんです。

 辻本さんに、これからのサッカースクール設立計画や、挑戦についてお話を聞きました。

目指すのは子ども1人1人に寄り添うサッカースクール

―辻本さんが目指しているサッカースクールの方向性や形態について教えてください。

 「サッカースクールの対象は小中学生です。1~最大5人くらいの小規模クラスで、子どもたち1人1人と向き合いたいです。そして個別面談や家庭訪問を取り入れて、学校より小規模だけど学校みたいなサッカースクールにしていきたいです」

―サッカーに特化するサッカースクールというより、地域のコミュニティ要素を取り入れたやり方ということですか?

 「はい。サッカースクールの生徒たちと一緒にキャンプしたりとか、BBQをしたりとか、博物館に行ったりとか。サッカーだけではなく、そういう活動も行いたいです。それから、サッカー大会も頻繁に行いたいです。サッカーはもちろん、それ以外の、子どもたちが楽しめる活動も行う。そんなサッカースクールを目指しています」

 「そのような活動と併せて、いずれは生徒の宿題をサポートする活動も検討していきたいと考えています。僕はこれまで個人指導でサッカーを教えてきたのですが、指導した生徒の保護者から“うちの子はサッカーばっかりやっていて宿題をしなくて困っている”という話を聞いたことがあるので、そのようなサービスを提供できたら、保護者も喜んでくれるような気がします」

―実際に自分が経営するサッカースクールが形になってから、特に重視していきたいことを教えてください。

 「サッカースクールという形態ではありますが、僕はサッカーにこだわりすぎないことを重視していきたいです。サッカー選手になれるのは、ごく一部です。3000人に1人ともいわれています。実際僕はこれまでの人生でサッカーしかやってこなくて、サッカーで学んで活かせていることもたくさんありますが、苦労した部分もたくさんあります。だから、自身が経営するサッカースクールでは、サッカーを通して努力の大切さとか、思考力とか、そういうものを含めて教えていきたい。子どもたちに、サッカースクールを通して生きていくための力を身に付けて欲しいのです」

―辻本さんが目指すのは、サッカーのプロを育てるためのサッカースクールではないということでしょうか?

 「プロを育てたい気持ちがまったくないかっていうと嘘になりますが、基本的にはトップアスリートを育てるというより、子どもたちがサッカーを通じて学びを深め、色々な選択肢を持ってくれるようにしたい。僕のサッカースクールでの活動が、成長過程で活きるようにしていきたいと考えています」

0から1を作る経営の道を選択

―サッカー指導者になるなら、様々な道があります。アルバイト、契約社員、正社員という形態で、サッカースクールを運営する企業に入社し、指導者として働くやり方が本来自然ですが、どうして自らサッカースクールを作る道を選択したのですか?

 「僕はこれまで4つくらいのサッカースクールに所属して子どもたちを指導した経験を持ちます。僕がサッカースクールでやりたいことは、最初にお話しした内容の通りですが、他のサッカースクールに所属すれば、そのスクールの理念に合わせた働き方になります。僕は自分の理念を掲げて0から1を作り出して活動してみたかったのです。もちろん簡単な道ではありませんが、理想を目指していきたいです」

 「大学ではスポーツビジネスや経営について学び、大学の選択科目ではスポーツ関連の電子書籍の販売も経験しました。スポーツはもちろん経営の方法についても学んできたので、この知識が、サッカースクールの経営で役に立つと思います」

サッカースクール経営という目標に向けた行動

 辻本さんは現在、サッカースクール経営に必要な資金について、固定収入がもらえる仕事で確保を目指しつつ、併せてクラウドファンディングにも挑戦している最中です。

 サッカースクールを経営するために、大学卒業後はフリーランスという働き方を選択すると決めているとのこと。そんな辻本さんに、これからのビジョンについても聞きました。

―今は、サッカースクール経営に向けた挑戦を始めたばかりということですが、これから実際に軌道に乗るまでの生活費はどうする予定ですか?

 「まずは並行して、いくつか仕事をしていきます。スポーツシッターというサービスがあって、これは簡単にいうと外で子どもを預かりながら体育を教えるというサービスなのですが、そちらのサービスを提供している会社で、個人事業主として働きます。そこで保育園に営業等をしていきます。そうやってお金を稼ぎつつ、サッカースクールも頑張っていきます。現実的には、それでも資金面は厳しいので、他にもアルバイトをしながら挑戦していきます」

―経営の道を目指す方の中には、会社勤めを行い安定した収入を確保しながら、週末の時間を遣って自分のビジネスを始めて、少しずつ規模を拡大していく方もいますが、そのようなやり方でサッカースクールに挑戦するという選択肢はなかったのでしょうか?

 「その方向ももしかしたら今後次第で選択する可能性はありますが、まずは今のやり方で挑戦してみます。不安がまったくないというわけではありませんが、FOOT NINJAの広報の仕事や、先ほど触れたスポーツシッターの仕事等、フリーランスは色々な仕事を経験できるのがメリットだといえます。仕事で色々な経験を積んで武器に変えていき、サッカースクールの経営面にも活かしていけるようにしたいです」

―新卒でいきなりフリーランスというのは、勇気のいる決断だと思いますが、周りの方に反対されませんでしたか?

 「唯一反対したのはやっぱり家族でした。家族にお金の面や将来のことについて理解してもらうのは一番の課題かもしれないと感じています。家族以外の人、僕はサッカー関係者の知り合いが多いのですが、彼らは皆“いきなりフリーランスはいばらの道かもしれないけど、やりたいことをやるのが一番良いと思うよ”っていってくれています」

―現在、クラウドファンディングを実施中とのことですが、実際にサッカースクールを始動するのは資金が準備できてからでしょうか?

 「はい。実際すぐにスタートはできません。スポーツシッターやFOOT NINJAの広報の仕事をしっかり行い、2018年中のオープンを目指します」

取材後記

 人間は趣味や好みが似ている同士で仲良くなることが多いです。「サッカーが好き」という共通意識を持った子どもたちが、所属している学校に関係なく、地域のコミュニティ要素のあるサッカースクールに集まって出会い、サッカーだけではなくキャンプやBBQ等のレクリエーションを経験することによって、そこが子どもを救う受け皿として機能する可能性もあるのではないかと感じます。

 子どもの頃は、通っている学校やクラスが世界の全てになりやすいです。そこで周りと上手くいかなかったとしたら、苦しみは計り知れません。しかし、辻本さんが目指すようなサッカースクールが実際に形になっていけば、そこでの出会いや経験を通して、早くから「世界は1つだけではない」ことを知ることができるかもしれません。

 奉仕活動の一種としての機能も含め、辻本さんが目指すサッカースクールの可能性は広いのではないかという印象を受けました。

 0から1を築くのは大変なことですが、大学卒業後、本格的に活動していく辻本さんに期待しましょう。

インフォメーション

辻本拳也(つじもとけんや)

帝京大学4年生(今春卒業)

生年月日:1995年8月31日

出身地:兵庫県神戸市

サッカー歴:幼稚園~

埼玉県社会人サッカーリーグ2部「FC武南」での選手経験(約1年間)

2017年~北区社会人サッカーリーグ2部「スペリオ城北」のセカンドチームでプレー経験あり。

選手と並行して指導者、「FOOT NINJA」サプライヤー、サッカーライターとしても活動。

サッカースクール資金クラウドファンディングページ

少人数指導のサッカースクールを開校したい - CAMPFIRE(キャンプファイヤー)

Twitter

https://twitter.com/kenyasoccer9

サプライヤー契約

サッカーフットサルウェアのアパレルブランド「FOOT NINJA」

http://footninja.theshop.jp/

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