【〝雑品スクラップ〟規制強化へ】〈(上)廃棄物処理法〉家電と小型家電の合計32品目、「有害使用済機器」に指定 雑品の実態把握、適正処理が目的

届け出義務化、除外対象も

 改正廃棄物処理法が4月1日、改正バーゼル法が10月1日から施行される。相次ぐヤード火災で社会問題となった、いわゆる〝雑品スクラップ〟に対する規制強化が大きな柱。対象となる品目や判断基準をより明確化し、雑品スクラップに関する実態把握と適正処理の促進を狙いとする。両法の改正概要や、すでに先行している中国の資源物輸入規制による日本への影響などを紹介する。(小堀 智矢)

背景と改正項目

 雑品スクラップは多くが有価の資源として取引されており、廃棄物に関する法令である廃棄物処理法では取り締まれない事案があった。こうした課題に対応するため、昨年6月16日に公布された改正廃棄物処理法では規制対象となる品目を「有害使用済機器」と定義する第17条の2を新設。(1)有害使用済機器の保管・処分を業として行う者に都道府県知事への届け出を義務化(2)政令で定める保管・処分の基準の順守を義務付け(3)都道府県による報告徴収や立入検査などの行政処分および罰則の対象に追加した。

有害使用済機器とは

 法第17条の2では有害使用済機器について「使用を終了し、収集された機器(廃棄物を除く)のうち、その一部が原材料として相当程度の価値を有し、かつ、適正でない保管又は処分が行われた場合に人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがあるものとして政令で定めるもの」と定義した。そもそも廃棄物なら有害使用済機器ではなく、リユース品や修理して再使用する機器も本来の用途での使用を終了していないため有害使用済機器に該当しないと判断する。

 政令では家電リサイクル法が規定する家電4品目と小型家電リサイクル法の28品目の合計32品目(※別表参照)を有害使用済機器と指定。また、ヤードなど現場では家庭用機器との違いが判断しにくい業務用機器についても有害使用済機器の対象に指定している。施行時は32品目だが、給湯器や配電盤、無停電電源装置(UPS)など、その有害性や輸出を含む流通実態を踏まえて適宜適切な対応を行うとし、品目が追加される可能性もある。

届け出と除外対象者

 新たに業として有害使用済機器の保管・処分を行おうとする者は事業開始の10日前までに都道府県知事、法第24条の2に定める政令市長への届け出が義務付けられた。すでに有害使用済機器を取り扱っている業者は6カ月間の猶予が設けられ10月1日までに届け出が必要となる。

 一方、届け出の除外対象者には「廃棄物・リサイクル関係法令の許可等を受けた者」や「事業場の敷地面積が100平方メートル未満の小規模事業者」、「いわゆる雑品スクラップ業者以外の者で、有害使用済機器の保管等を業として行う者(例・不良品などの処分のため、本業に付随して一時保管を行う製造業者など)」が規定された。

保管・処分の基準

 有害使用済機器の保管に関し、政令では「囲いの設置」と「外部から見やすい箇所への掲示板の設置」の要件を満たすことを規定。汚水の飛散や流出、地下浸透のほか、悪臭の飛散も生じないよう措置を講じることが求められている。

 また、火災や延焼防止について、有害使用済機器に含まれる乾電池やリチウムイオン電池など火災発生源となる可能性のある物の分別や保管高さを一定程度に制限する措置を求めている。具体的な基準としては、火災防止の観点から有害使用済機器の保管の一つの集積単位の面積は200平方メートル以下とし、不燃性の仕切りがない場合、他の集積単位と2メートル以上離すことも求められる。

 有害使用済機器の処分に関しては保管と同様、汚水や悪臭に必要な措置を講じるほか、破砕などの騒音・振動や火災防止への措置が求められた。また、有害使用済機器の焼却や熱分解、埋め立て処分、海洋投入処分の禁止が規定された。有害使用済機器の適正処理を進めるため、保管・処分については帳簿の作成も求められる。帳簿は月ごとに前月分の記録を終了し、1年ごとに閉鎖。閉鎖後5年間は事業所ごとに帳簿を保存する。

行政処分と罰則

 法は都道府県知事などが施設設置者などに対し、必要な報告を求めるなどの行政処分を行うことができると定めている。有害使用済機器の保管・処分を行う者に対しても、報告徴収や立入検査、改善命令、措置命令について廃棄物処理法の規定を準用。罰則についても同様だが、届け出義務違反(法第30条第6号)の罰則に関しては「30万円以下の罰金」と定めた。

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