愛知製鋼、磁石・自動運転事業で2社と資本提携 次世代事業の育成強化

 愛知製鋼(社長・藤岡高広氏)は、自動車産業の大きな転換期に対応した次世代事業(スマート事業)の育成強化策の一環として、磁石事業、自動運転の支援システム開発事業で、知見を持つ企業2社との連携を強化する。27日に二つの資本提携を同時に発表した。

 磁石事業では、中国国内での磁石の安定供給体制強化と、今後拡大が見込まれるEVモータ市場参入に向けての布石として、現在、同社が磁粉(商品名・マグファイン)を供給し成形加工(樹脂と混ぜ合わせたコンパウンドを成形)を委託する浙江愛智機電有限公司(本社・中国浙江省、董事長・劉氏)に出資。

 出資額は900万元(約1億5千万円)で、出資後の資本金は2700万元(約4億5千万円)。出資比率は愛知製鋼33・3%、平湖喬智電子有限公司66・7%となる。加工したボンド磁石を、中国内の自動車用シートモータや電動工具、電動ベッド向けなどに提供。

 既存の生産技術支援を継続するとともに、2018年度には愛知製鋼の一体射出成形技術を移管する。現地でのEV用モータ市場への参入を視野に入れる。 

 自動運転支援システム開発では、技術ノウハウを持つベンチャー企業・先進モビリティ(本社・東京都目黒区、社長・青木啓二氏)に出資する。出資額は3億円。愛知製鋼の出資後、先進モビリティの資本金は10億1千万円となる。

 愛知製鋼は、昨年から先進モビリティと共同で自動運転実証プロジェクトに参画。独自商品である「MIセンサ」を用いた「磁気マーカシステム」を、開発した自動運転車両にシステムを装備し、実用化に向けて開発を進めている。

 今回の出資により関係をさらに強固にし、システムの実用化推進とビジネス拡大につなげる。

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