【東海地区の厚板シャー市場】切板需給タイト化、価格上昇 機械関連堅調、建築も需要増

 名古屋を中心とする東海地区の厚板切板価格にも、値上がり機運が高まってきた。メーカー販価の上昇に伴い、仲間取引ではトン当たり10万円(市中一般品、加工素材や形状によって異なる)を超える商いが浸透しているが、建築関連はヒモ付き案件も多いため、既契約分の主部材向け切板は大台に達していないものも散見されていた。ここへ来て新規案件の出方も円滑になり、大台を超す契約が定着してきた。「4月以降は逆に、仕事が増える」(大手溶断業者)ため、需給タイトの中でさらに上昇局面が続きそうだ。

 東海地区では、産業機械、工作機械関連の需要が極めて好調。関連する厚板溶断業者で繁忙感が目立っている。

 中には、残業規制などの関係で業務を外注対応するケースもあり、それが仲間取引を活発化している。母材在庫に極端な枯渇感はないが、全般に現物在庫は少ない状態。また各社の加工能力にも限界があるため、それが納期面など全体のタイト感につながっている。

 メーカーからの母材入荷も、一部メーカーで納期遅れになっていたものが入ってきた。今後の状況によってはさらに納期が厳しくなる感じもある。

 在庫単価は値上がりし、厚板シャー業者も価格転嫁を順次進めなければ採算が確保できなくなる状況。こうした中で、まず仲間関連の切板価格が上昇した。

 さらに建築需要が好転してきている。大型物流倉庫や自動車関連の工場建設投資などが目立ってきた。また「工期遅れが見込まれるため、先行発注するケースも目立ってきた」(厚板シャー)という。

 足元でも建材系厚板シャーの稼働は高まってきている。4月以降は、工作機械などの増産が続く見込みのため「2018年度上期中は繁忙状態が続きそう」(工作機械向けが主体の加工業者)との声が大きくなってきており、仕事量を心配する声は聞こえない。新規契約については「最下限トン10万円」との声が大きくなってきており、輸送コストなどの上昇も重なって強気の市場形成となりそうだ。

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