半導体製造装置用アルミ厚板、需要好調 年内持続の見方大勢

 半導体製造装置に利用されるアルミ厚板需要が堅調だ。韓国や中国の半導体大手が相次いで増産することを受けて、国内の製造装置メーカーは高水準の年間フォーキャストを内示している。これを受けて加工メーカーも設備増強に踏み切っており、少なくともアルミ厚板は年内いっぱい高いレベルの受注が見込まれている。

 アルミ厚板はUACJ、神戸製鋼、日本軽金属が得意としており、これらメーカーから流通で切断加工され、加工業者へ渡り、チャンバーや治具として半導体製造装置に納められる。

 半導体市場を巡っては、スマートフォンのハイエンド化や自動車の電動化・自動運転技術の発達、製造現場のIoT化・AI導入などを受けてマーケットが急成長。従来、半導体産業において見られた好不況を約4年の周期で繰り返す〝シリコンサイクル〟を超えて〝スーパーサイクル〟入りしたとの観測も台頭。中長期的に高いレベルの需要が期待されている。

 こうした中で世界的に競争力のある国内の製造装置メーカーは強気の生産計画を示す。これに対応して加工メーカーも大規模な増産投資に踏み切る企業が散見されており、素材となるアルミ厚板も活発な荷動きが続いている。

 アルミ厚板市場を巡っては13年後半ごろから高水準の需要が続き、昨年春には一時的に厚板の流通在庫がひっ迫化。その後、圧延メーカーの増産などもあって需給は緩和傾向にあるが、それでも焼き入れ材など一部品種では依然としてタイト感が継続している。

 目先も半導体製造装置需要は腰折れ懸念が少ない。アルミ厚板の足元の荷動きは「受注はあるものの、繁忙感は以前ほどではない」(大手流通筋)との指摘も聞かれるが、それでも「先々の案件が見えているため、在庫を切らさないために調達を強化していく」(同)との考えだ。圧延メーカーも同様で「バブル化しているとの指摘も聞かれるが、少なくとも年内は高いレベルの荷動きが期待できる。生産技術の向上などで厚板の生産量を増やす努力を続けていく」(圧延メーカー幹部)と説明。今後もアルミ厚板の荷動きは高いレベルで推移しそうだ。

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