空いた「県庁新別館」の活用 長崎振興局移転 軸に検討 2019年度目安 部署決定へ調整

 県庁舎移転に伴い、県教委などが入っていた県庁新別館(長崎市万才町)も、もぬけの殻となった。県は2億円近くかけて2018年度に一部を改修し、県長崎振興局を新別館に移すことを軸に検討を進める。「19年度の移転が一つの目安」としており、18年度中に振興局のうち移す部署の範囲を決める方向で調整する。

 新別館はその名の通り、県関係の庁舎の中で比較的新しい。1995年に建てられ、鉄筋コンクリート造りで地上9階、地下2階。耐震基準も満たす。県教委や県危機管理課などが入り計約260人が働いていたが、新県庁舎に引っ越した。

 県は18年度当初予算案に新別館の改修工事費を2億円近く盛り込んだ。経年劣化した照明設備の交換や屋上の雨漏り対策、火災報知機の更新などを進める。本庁が移転したため電話交換機も新たに設けるという。

 改修した後に入る機関は長崎市と西彼長与、時津両町内の建設事業などを所管する長崎振興局が有力だ。長崎市大橋町の同局には約130人が勤めているが、建物は60年完成と古く、耐震基準も満たしていない。ここに加え、県は同局の税務部(同市勝山町)と長崎港湾漁港事務所(同市国分町)も対象に、新別館に入ることができる部署の規模を決める方針。

 県庁舎と県警本部が引っ越した影響で、旧庁舎周辺の店舗への客足が減る傾向が懸念され、県管財課は長崎振興局が入れば「にぎわいづくりに若干だが寄与できる」とみている。

 ただ、県庁舎移転には二次的な引っ越しや跡地活用といった課題が連鎖している。県は長崎振興局の跡地についても活用を考えなければならない。老朽化しているため建物を解体する可能性が高いとみられるが、県は部局横断的な「県有財産管理運用本部会議」での議論を活発化させる考え。

県庁移転に伴い、空きの状態となった県庁新別館=長崎市万才町

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