空き家を芸術家と再生 横須賀市が新事業

 横須賀市は2018年度、丘陵地に細い路地や階段が入り組む「谷戸」の地形を活用した地域コミュニティーの再生事業に乗り出す。増加する空き家に創作活動を行う芸術家を誘致し、住民との交流機会を生み出すなどの取り組みで、市都市計画課は「地域コミュニティーを盛り上げたい」と話している。

 谷戸と呼ばれる地域での空き家問題は、同市が抱える大きな課題の一つ。市が10年、市内49の谷戸地域を対象に行った調査によると、谷戸全体の空き家率は7・9%。中でも汐入町5丁目が18・5%と最も高く、次いで長浦町4丁目が16・3%。階段が多く、車が横付けできない住宅が多いのが特徴だという。

 今回は横須賀らしい地形を活用した新しいコミュニティーのあり方を検証するのが目的。芸術家に移住してもらい、住民と一緒にイベントや作品を作り上げるほか、関東学院大(横浜市金沢区)と連携し、学生による空き家を活用した交流拠点の整備などを支援する。同大は京急線追浜駅近くで「おっぱまのま」と名付けた交流拠点を整備しており、今回は同様の拠点を別の谷戸でも作ってもらう。

 さらに空き家を改修し、地域住民の交流拠点にするなど、「地域コミュニティーの再生に寄与する取り組み」も広く募集する。対象となる活動の経費に対して助成を行うもので、空き家の改修にかかる費用の半分(上限100万円)を補助する。

 上地克明市長も2月26日の市議会本会議で「芸術家が谷戸に移住し、地域との交流機会の創出に寄与するだけではなく、市内のさまざまな場所で開かれるイベントでもパフォーマンスが発揮されるよう、楽しい取り組みが生み出されることも期待している」などと答弁した。市は新年度当初予算案に谷戸地域再生推進事業として約1447万円を計上した。

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