【新日鉄住金が新中期計画】設備投資1.7兆に増額、事業投資倍増 都内の鋼管製造拠点休止、和歌山製鉄所に集約

 新日鉄住金は2日、2018~20年度を対象とする新たな中期経営計画を策定したと発表した。東京都内で記者会見した進藤孝生社長は「つくる力を鍛え、メガトレンドを捉え、鉄を極める」と語り、(1)社会・産業の変化に対応した素材とソリューションの提供(2)グローバル事業展開の強化・拡大(3)つくる力の継続強化(4)鉄鋼プロセスへの高度ITの実装―などが主要な取り組み施策と述べた。進藤社長は「3年間で設備投資を1兆7千億円、事業投資に6千億円(現行中期は3千億円)、研究開発費に2200億円を投入する。それぞれ、17年度までの現行中期計画の水準を上回る金額になる」と強調した。

 鉄鋼の海外事業については「(日本から原板を輸出する)垂直分業モデルにとどまらず、鉄源から製品までの一貫生産をグループ内に取り込むことを検討し、有力企業との連携・協業やM&Aには、機動的・柔軟に取り組みたい」と語った。

 新たな共同買収案件について「インドではアルセロール・ミッタル社と共同で、エッサールスチールを買収・経営する基本契約を締結した。中国の後はインドだ」と言及。国内外の品種・分野・地域ごとの戦略投資への意欲を見せた。

 鉄鋼の最適生産体制構築では(1)八幡製鉄所での新鋭連続鋳造設備稼働(19年度~)により小倉地区の鉄源設備を計画通り20年度末をめどに休止(2)和歌山製鉄所第5高炉から、稼働待機中の新第2高炉への切り替えを18年度末頃に実施。これにより粗鋼生産能力を50万トン増加(3)君津製鉄所小径シームレス鋼管工場(旧東京製造所)を20年5月めどに休止し、和歌山製鉄所海南地区に生産集約―などを実施する。

 このほか(1)17年3月に子会社化した日新製鋼との間で20年度末までに年200億円のシナジー発揮。薄板・ステンレス等の各品種事業および鉄源生産での連携施策を一層拡大(2)製鉄事業と化学・マテリアル統合会社(18年10月統合予定の新日鉄住金ケミカル&マテリアル)の連携を通じ、自動車や電池などの先端ニーズへの対応力強化―などにも取り組む。

ROE・ROS「目標は10%」

 進藤社長は20年度の収益・財務体質目標について「売上高利益率(ROS)10%程度、ROE10%程度、DEレシオ0・7程度。配当性向は30%程度を目安とする」と語った。資産圧縮は3年で1千億円としている。

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