おいしいと評判の『晩白柚(バンペイユ)』の『瀧川果樹園』さんにインタビューしてみたら全国にファンを抱えているすごい農家さんだった。

熊本には名産品がたくさんあるが、柑橘類も特産品なのだ。しかし、一般的に熊本の特産品に柑橘類のイメージを持っている全国の人は少ない。

そこで、熊本が誇る世界最大の柑橘類でギネスにも載る「晩白柚(バンペイユ)」の農家さんにインタビューさせていただき、全国のみなさんに「晩白柚(バンペイユ)」への理解を深めてもらおうという企画で取材をしてみた。

 

晩白柚(バンペイユ)専門農家『瀧川果樹園』@熊本・八代

晩白柚(バンペイユ)とは?

晩白柚(バンペイユ)とは、柑橘類のひとつで、ミカン科であるザボンや文旦の仲間だ。原産地はマレ-半島、柑橘類では世界最大で、大きさは直径20~25cm、重さは1.5~3kgほど。バスケットボールより少し大きいくらいの大きさだ。

2015年には、熊本県立八代農業高校園芸科学で収穫された晩白柚(バンペイユ)が世界で最も重いザボンの仲間ということで、ギネス世界記録に認定されている。重さは4859.7gもあったそうだ。

 

晩白柚(バンペイユ)の味と香りの特徴

晩白柚(バンペイユ)の香りは八朔(はっさく)のように爽やかでしつこくない香りが特徴だ。

味はグレープフルーツに例えられる事が多いが、グレープフルーツほど苦くはないし、グレープフルーツより甘い。

しくこくないあっさりとした爽やかな甘さ・程よい酸味・若干のほろ苦さのバランスが絶妙で、果肉はサクッとした弾力があり食感も楽しいのだ。

 

八代市ってどんなところ?

熊本市から南下して40kmほど行ったところにある八代市。畳表の原料となるいぐさの名産地としても有名だが、八代海に面し、平野部もあり、山間部あるという特徴のある地形をしていて、太陽からの光と海の照り返しからの光で、特に果物の栽培には適している地域だそうだ。

そんな豊かな土壌と温暖な気候に恵まれた八代平野の一角にあるのが瀧川果樹園だ。

 

瀧川果樹園ってどんなところ?

戦後、先代が八代の赤土でミネラルを多く含んだ肥沃な土の日当たりの良い西向きのなだらかな斜面を購入し、一からみかん作りを始めたそうだ。

瀧川果樹園さんは、先代からのみかん作りのノウハウを活かして八代特産の晩白柚(バンペイユ)を専門に栽培している農家さんで、「おいしい」との口コミで全国各地から問い合わせが来ている評判の晩白柚(バンペイユ)農家さんなのだ。

今回は、そんな瀧川果樹園さんにご無理を言ってインタビューさせていただいた。

 

農業暦42年のプロが作る晩白柚(バンペイユ)

 農家を始めようと思った「きっかけ」や「経緯」を教えてください。

瀧川さん:親がみかん作りをしていて、その実家を継ぎました。16歳から実家を継いで58歳になりますので、42年ですね。

 現在は何人で果樹園を支えておられるのでしょうか?

瀧川さん:今は妻と二人だけです。

子どももいるんでが、誰も継がない状態ですね。

子どもたちには子どもの人生がありますからね。

親としては少しさみしいですけどね。

 晩白柚(バンペイユ)以外にも作られている農作物はありますか?

瀧川さん:みかんを少しだけかな。

自分たちが後を継ぐまでは、柑橘全般をやっていて、温州みかんがメインでしたね。その時も晩白柚(バンペイユ)はあったんです。ただ、まだその時、晩白柚(バンペイユ)は有名でもなく、注目もされてなく、雑果として認識されてました。しかし、温州みかんだけではみかん農家たちが食べていけなくなってきていたので、地域的に八代全体で晩白柚(バンペイユ)をブランド化していこうかという話になっていって、徐々に晩白柚(バンペイユ)にをメインにしていった状況ですね。

 晩白柚(バンペイユ)に切り替わっていく時期っていつくらいですか?

瀧川さん:結婚してすぐにハウスを建てたから30年くらい前かな?

 果樹園の広さは?

瀧川さん:全体では1町2反で晩白柚(バンペイユ)は6反くらいですかね。

2分の1くらいが晩白柚(バンペイユ)ですね。

まぁ、一般的な広さかなと。

個数でいくと、他の農家さんよりは少ないかもしれないですけど・・・1万個〜15000個くらいが一般的な個数だとは思いますが、うちは二人で1つ1つ丁寧に育てることにこだわっているので、そこまで多くは作れないんですけどね。

※1反=300坪  1町=10反=3000坪 

※読み方は「町(ちょう)「反(たん)」

 そうは言ってもかなり広いですよね?お二人だけで管理されるには大変ですよね?

瀧川さん:そうですね。まぁ、できることだけに集中的に特化してやっているので、晩白柚(バンペイユ)のハウスだけに今は集中しています。

 一般的な1日の流れを教えてください。

瀧川さん:時期によって全然違うので、何とも言えないですね。

この時期からは剪定作業に入るので、朝8時前くらいから作業を開始するんですが、収穫して出荷の時期などは夜に収穫して出荷しに行って朝の4時ごろに帰ってくるという時期もありますしね。だから季節によって流れが全く違いますよ。

晩白柚(バンペイユ)作りの3つのこだわり

 晩白柚(バンペイユ)が一番おいしい時期はいつですか?

瀧川さん:一般的には12月〜から1月くらいが旬と言われているけど、2月くらいが一番おいしいですね。酸味があるので、追熟してクエン酸が糖に変わって甘みが出てくるし、食べやすくなりますね。

 晩白柚(バンペイユ)を作られる際の特別なこだわりなどはありますか?

瀧川さん:食べ物を作っているので、見た目や大きさ傷などの外観ばかりを綺麗にするよりも本来の味に重きをおかない訳にはいかないと思っています。

たとえば晩白柚が届き、1週間ほど部屋に飾って香りを楽しんでいると子供たちは待ちきれずせがまれて剥いて食べてみると、「ん・・ちょっと・・・」ってなるのは残念すぎますからね。そういった経験が増えると晩白柚じたい食べてもらえなくなるので、やっぱり味にはこだわりたい。

それとあとこだわりとしては、25年くらい除草剤は全く使ってないです。

「みかん作りは葉作り。葉作りは根作り。根作りは土作り」と昔から言われていること何ですが、土はいつも使っていると腐植やミネラルは奪われて老朽化していくんです。それを少しでも防ごうと、私は25年間一切の除草剤を使っていません。

草刈りは年に3回くらいやるんですが、二人で6反分やっています。昔は全ての果樹園を二人でしてたんですが、もう年齢的なこともありますし、今は晩白柚(バンペイユ)に集中しているので、とりあえず晩白柚(バンペイユ)の6反分だけやっています。

正直、科学的に実証実験をしたわけではないんですが、やっぱり一般的には体に悪いとも言われているし、僕たちは食べ物を作っているんだから、除草剤は使わず労力を使おうという話になって今にも続いてるんです。

もう1つのこだわりは直接お客さんに送るという産地直送にこだわっています。

やっぱりおいしいものを食べてもらうには、自分で作って自分で届けるという形が一番なんです。お客さんからのお声を聞くこともできますしね。

 先ほどのこだわりのお話にもありましたが、瀧川さんが作られているこの晩白柚(バンペイユ)は、送ってすぐに剥いて食べてもおいしいということですか?追熟は必要ないと?

瀧川さん:届いてすぐにでも食べられますが、より美味しく食べていただくためには追熟も必要です。特に12月は。

 どうしてそういうことができるんですか?作り方にも特別な秘密があるんですか?

瀧川さん:木になっている時間を調節して収穫して出荷してるんです。

つまり、早めには収穫しないということです。

普通の市場などへの出荷は、スケジュール的な問題で出荷の10日ほど前に収穫するんですが、うちはお客さんに直接産地直送で送ることにもこだわっているので、そのスケジュールの問題は発生しないんです。そこで、お客さんにはできるだけおいしいものを食べてもらいたいということから、木になっている状態で熟して、送ってすぐ食べてもおいしい状態にしようと。出荷のギリギリまで枝につけておいておいしくなってから送るようにしています。

 この晩白柚(バンペイユ)の「ぜひここを味わって欲しい」という点はありますか?

瀧川さん:甘味と酸味が調和したコクのある晩白柚。まれにあるんですよね「これが晩白柚だ!」と言う本来の味を持つ晩白柚が。そんな物を私が1個でも多く作っていきたいですね。

晩白柚(バンペイユ)作りの苦労と魅力

 晩白柚(バンペイユ)を作られる中で一番苦労する点はどんなところですか?

瀧川さん:やっぱり気候が苦労しますね。毎年同じ天候が続くわけではなし、工業製品ではないので、規格通りの商品ができる訳ではないというところですかね。でも、同じようなサイズで同じような形の晩白柚(バンペイユ)でも、微妙にに1つ1つ違うというところが良いところ何ですけどね。そういう所がお客さんにわかっていただけるかなということが毎回心配です。

また別の心配としては、老いが切実な心配ですね。

夫婦二人だけでしていくことも、ビニールハウスのビニールかけたり、高い所に登っての作業とかもあるので、肉体労働がいつまで続けられるかという心配がここ1年で大きくなってきましたね(苦笑)

 このお仕事の一番の魅力は何だとお考えでしょうか?

瀧川さん:やっぱりお客さんのお声が直接聞けた時やリピーターになってくれた時には「おいしいものを届けられたんだ!」という気持ちになりますよね。お客さんから商品に対して”合格点”をもらえたのかなという気持ちですよね。

 やっぱり口コミが一番多いですか?

瀧川さん:そうですね。

全国、送っていない都道府県がないくらいに全国各地にお客さんがいてくれていて、今はほとんどが口コミでお電話かでのご注文をいただいています。送る時にはパンフレットを入れているというのもあって、「おいしい」と言ってくれてご友人などに紹介してくれるんです。そのパンフレットを作ったのは30年ほど前なんですけどね(笑)

この30年で少しずつ少しずつ口コミが広がっていった感じですね。

パンフレットも昔から使っているので、「若い人が作ってる」と思われているかもしれないですが、おじさんが作ってるんですよ(笑)

瀧川果樹園さんの今後の展望

農家さんとしてこれから考えている展望や目標はありますか?

瀧川さん:まだ晩白柚(バンペイユ)自体を知らない人もいるし、知っている人でも、うちの晩白柚(バンペイユ)を知っている人は何人いるんだろうか?って考えているんです。

日本全国の人たちに我が家の晩白柚(バンペイユ)を一度食べてもらいたいです。

 

晩白柚(バンペイユ)を食べさせていただいた!

いや、しかし、デカイ!まうごつ太いと言うべきか?

ペンと比較してみたがかなりの大きさだ。

今回、瀧川さんのご好意で、実際に食べさせていただいたぞ!

さすが晩白柚(バンペイユ)農家さん、剥き方も瀧川さんオリジナルな剥き方があるそうで、それを実演してくれたぞ!

そちらの紹介はまた別記事で。

こんな風に大きな晩白柚(バンペイユ)を上手に2つに分けて、果肉を入れる用のお皿と、皮を入れる用のお皿を作ってくれた!

さぁ!早速食べてみる!

果肉はこんな感じですごく爽やかないい香りが部屋中に漂っていたぞ。

食べてみると、以前に食べた晩白柚(バンペイユ)より甘みがあって、苦さを感じなかった!

みずみずしくて、プリッサクッとした食感も格別だ!

取材で行っているのに、パクパク食べてしまった・・・

だってしつこくない上品な甘さでドンドン食べたくなる味やねんもん!

 

まとめ

今回、取材をさせていただいて、特に印象的だったのは、晩白柚(バンペイユ)に対しての瀧川さんの姿勢だ。

「僕たちは食べ物を作っている」「口に入るものだからおいしく安全でなければ」「味には自信がある」という言葉が目立った。

インタビューを始めた時の瀧川さんは、すごく低姿勢で穏やかな優しいおっちゃんだった。しかし、インタビューを進めるにつれ、瀧川さんの晩白柚(バンペイユ)愛が溢れ出し、最後にはかなり熱い夢を語る青年の目になっていた。

「年齢が心配」とおっしゃる言葉とは裏腹に、今まで42年間で培ってきたノウハウや自信をお持ちだなとヒシヒシと感じさせられた。

また、今までこだわり抜いて作ってきた晩白柚(バンペイユ)だからこそ、日々の作業が過酷なんだということも感じた。きっとそのこだわりを取り除けばもう少し楽ができるのだろう。しかし、瀧川さんはそれをしない。

お話を聞かせていただいて、プロとはこういう人のことを言うんだと痛感させられ、非常に多くの刺激をいただいた。

本当に他の晩白柚(バンペイユ)よりおいしく上品な味なので、全国のみなさんには一度この瀧川さんの晩白柚(バンペイユ)を食べてみてもらいたい。

ぜひ、この機会にどうぞ。

 

瀧川果樹園

・果樹園名:瀧川果樹園

・責任者:瀧川明広

・住所:熊本県八代市平山新町5094−1

・TEL:0965-33-3039

・FAX:0965-33-3039

・Email:akkyshatoru@gmail.com

・注文方法:お電話か、FAXまたはEmailにて、以下の必要事項を明記の上、ご注文ください。
【必要事項】ご注文者のお名前、郵便番号、住所、TEL、FAX、Email、ご注文商品の商品名、単価、数量、合計金額、お届け先のお名前、郵便番号、住所、TEL商品名など商品名や商品の種類は、瀧川果樹園さんに直接お電話かEmailなどでご確認ください。

※農作物ですので、時期や年度によりラインナップが変わることもありますので。

・公式HP:http://www.banpeiyu.jp

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