JMU、高効率プロペラを日本郵船と共同開発 大型コンテナ船に搭載

 造船大手のジャパン・マリンユナイテッド(JMU)は8日、燃費や二酸化炭素の排出を減らせる高効率プロペラを開発としたと発表した。日本郵船や研究開発を担う郵船子会社のMTIと共同開発したもの。呉事業所(広島県)で建造している郵船向けの1万4千TEUコンテナ船2隻に搭載する。

 新プロペラは航行時に生じる気泡のキャビテーションを観測することで翼の形状やひねりを工夫。10メートルの径は維持しつつ翼面積を減らし、燃費やCO2を平均1・2%削減できるよう改良した。年間でスギ11万本に相当するCO2削減効果があるという。

 JMUは郵船から同じ船型の1万4千TEUコンテナ船を15隻受注し、これまで8隻引き渡した。今回、郵船と協業することで、地中海など実際の航海時にプロペラの作動状況を世界で初めてドップラー流速で計測。この結果をプロペラ設計にフィードバックした。

 会見したJMU商船事業本部基本計画部の犬飼泰彦主査は「船によって最適なプロペラの形状は異なるが、15隻という連続建造のシリーズ船だからこそ、こうしたシミュレーションや改良が実現した」と説明する。

 新プロペラは15隻のうち、来年竣工する最後の2隻で使われる予定。シリーズ船の途中で改良を施すのは世界でも極めて珍しく、郵船は「連続建造の船であることと、JMUとの信頼関係の賜物」としている。設計上、既存の引渡し船でも新プロペラへ交換することは可能という。

 同コンテナ船ではJFEスチールとJMUが共同開発した構造アレスト技術や極厚ハイテン「YP460」を適用し積載能力を高めるなど多くの先端技術が採用されている。

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