少雨乗り切りダムアワード「低水管理賞」に 相模、城山、宮ケ瀬

 全国のダム愛好家でつくる選考委員会が主催する「日本ダムアワード2017」で、県北部にある相模、城山、宮ケ瀬ダムで構成する相模川水系総合運用が、少ない水を有効に活用した「低水管理賞」に選ばれた。雨が少なかった昨夏、三つのダムが水をやりくりして取水制限をせずに連携して乗り切った努力を高く評価した。

 ダムアワードは、愛好家が1年間の全国のダムの活動を振り返り、印象的なダムを一般参加者とともに投票で選出する。本年度は昨年12月に実施しダム大賞、放流賞、低水管理賞、イベント賞、洪水調節賞などを選んだ。

 受賞した相模川水系の三つのダムは、普段から一体的に運用されてきた。相模、城山の両ダムを合計しても宮ケ瀬ダムより貯水容量が小さいが、集水面積が広くたくさんの水が流れ込む。一方、宮ケ瀬ダムは貯水容量が大きいが集水面積が狭く水がたまりにくい。そこで、相模川の支流の道志川の水を導水路で宮ケ瀬ダムに導いてためておき、相模、城山ダムが足りなくなったときに宮ケ瀬ダムの水を逆に城山ダム側に流し込む「総合運用」をしている。

 相模川水系ダム管理事務所によると、昨年8月6日には3ダム合計の貯水量が1億2386万立方メートルと、2000年の宮ケ瀬ダム完成以降で最も少なくなった。埼玉県と東京都を流れる荒川水系が20年ぶりに取水制限となるなど、全国各地で水不足が問題となった。県内3ダムの貯水率も最低の56%にまで減っていたが、総合運用の努力が実を結んだ。

 選考委が5日、相模ダムと城山ダムを管理する県企業庁相模川水系ダム管理事務所(相模原市緑区)と、宮ケ瀬ダムを管理する国交省相模川水系広域ダム管理事務所(同)に賞状を届けた。

 城山ダムそばの相模川水系ダム管理事務所で、選考委の琉さん(ニックネーム)が、池田雅夫同事務所長に賞状を手渡した。琉さんは「ここまで水が少なかったのに、取水制限もせずに利用者が不自由を感じなかった裏では、ダムが連携して頑張っていた」と選考理由を説明。池田所長は「総合運用の努力が評価されて受賞できたのはうれしく誇りに思う。今後も効率的な運用に努めたい」と笑顔を見せていた。

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