川崎直下地震を想定 船で帰宅困難者運ぶ訓練を初実施

 工場が集積する川崎臨海部で9日、川崎市直下を震源とする大地震の発生を想定し、帰宅困難者を船舶で運ぶ広域防災訓練を初めて実施した。民間事業者や市、海上保安庁などの計約130人が参加し、臨海部周辺の交通機関がストップした際の対応などを確認した。

 訓練は、午後2時ごろにマグニチュード(M)7・3の大地震が発生し、川崎港トンネルの通行禁止や京浜急行線が運行停止になり、多数の帰宅困難者が出たと想定。津波の恐れがないことを前提に、市が川崎区東扇島に設置する防災用浮桟橋を利用し、約60人が市消防局や海上保安庁の船舶に乗り込み、対岸の千鳥町まで移動した。

 激しい雨と風の中での訓練を見守った担当者は「事業者と連携しながら、帰宅する手段があることを確認した。これから課題や修正点を挙げていく」と語った。県石油コンビナート防災相互用無線や川崎臨海部防災協議会などのメーリングリストも活用し、県や市、各事業所との情報共有も徹底した。

 臨海部での広域的な訓練は東日本大震災を機に始まり、今年で5回目となる。

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