大震災から7年

 〈震災後/夜空を見ると友がいる星の電話でつながっている〉〈あの日から私は笑顔たやさない/海がうばった3つの笑顔〉〈母の分生きると決めたあの日から/自慢の娘になれていますか〉〈さらさらとひく波だけが聞こえてる/君の影なし被災地の浜〉▲見えているかな、絶対に忘れないよ、頑張っているよ。本欄で幾度か取り上げた東洋大学主催の「現代学生百人一首」には、今はいない誰かに語り掛ける歌がとりわけ近年増えた気がする▲〈顔知らぬ名前も知らぬ人達が生きててほしいと願った三月〉。2011年に詠まれた一首だ。東日本大震災からきょうで7年▲〈大地震/力を合わせがんばっぺ! 下を向かずに再興目指し〉は同じ年の作品。福島の元気な高2は、もう社会に出ているだろうか。東京の高1は〈震災後/街のあかりが暗くなり不安な気持ち/ただいまで消す〉と家族のいる心強さを詠んでいた▲大地震は自然の猛威と人間の無力、「きょう」と同じに「あした」がやって来る日常のいとおしさを教えた。ただ前にも書いた。口が裂けてもそれらを“教訓”とは呼ぶまいと思う▲だが私たちは変わったし、変われるし、まだ変わらなければならない。この日を過去や歴史にはしない-そう誓いながら午後2時46分、静かに目を閉じたい。(智)

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