神戸製鋼社長に山口副社長 週内に新役員体制発表へ

 神戸製鋼所は9日、品質データ不正問題で引責辞任する川崎博也会長兼社長(63)の後継として、4月1日付で機械事業部門長の山口貢副社長(60)が社長に昇格する人事を発表した。神鋼は山口新体制の下で、組織体制、企業風土の抜本改革などを進め、信頼回復を目指す。

神戸製鋼所・山口新社長

 神鋼は一連の不適切行為を受けて、4月から事業部門長を取締役とする体制を見直し、素材、機械、電力の担当取締役のほか、コンプライアンスと品質を総括する取締役を各1人置く体制を敷く。新役員体制は週内に発表する予定。また山口氏の就任会見は16日に都内で開く。

山口次期社長/バランス感覚優れる切れ者

 神戸製鋼では異例となる機械事業部門長からの社長就任。キャリアも経営企画と機械部門が長いが、入社時の配属先は鉄鋼事業部門だった。神戸製鉄所の経理で3年、鉄鋼総括の企画管理部で4年を過ごし、以降は鉄鋼を離れたが若手時代に培った鉄のマインドは今も持ち続けている。

 緻密さと道産子らしいマクロ感を併せ持ち、社内ではバランス感覚に優れる切れ者として評価を得てきた。その才覚は企画のアライアンス戦略で発揮され、建設機械ではCNHとの提携、破砕機では川崎重工業と統合したアーステクニカ設立などを担当。神鋼環境ソリューションの再編やコベルコ建機では非常勤取締役も経験し、機械系事業全般に精通している。

 4年前に経営企画から機械事業部門へ戻り、16年には部門長に。スウェーデンの装置メーカー、クインタス・テクノロジーズの買収を指揮し、神鋼では1983年のミドレックス以来となる大型M&Aを実現した。

 昨年には代表取締役副社長へ昇格し、社長候補の一人と目されてきた。多くの事業部門に携わってきた経歴を持って「複合経営」立て直しに挑む。(黒澤 広之)

 山口 貢氏(やまぐち・みつぐ)81年(昭56)北大法卒、神鋼入社。11年執行役員経営企画部長、13年常務執行役員、15年専務執行役員、17年副社長。北海道出身。60歳。

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