南アフリカの白金族プロ、阪和興業が一部権益取得 JOGMECと交渉開始

 石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と阪和興業は9日、JOGMECが有する南アフリカ・ブッシュフェルド地域のウォーターバーグ白金族金属プロジェクトの一部権益の譲渡に向け、交渉に入ることで合意したと発表した。JOGMECの権益21・95%のうち、9・755%を日本企業に譲渡する入札を2月23日に実施し、阪和興業が落札した。阪和興業は自動車用排ガス浄化触媒と燃料電池に使用される白金族、二次電池に使用されるニッケルなどの金属資源を確保し、日本への鉱物資源の安定供給につなげる。

 同プロジェクトは、JOGMECとカナダの探鉱会社プラチナム・グループ・メタルズ社(PTM)および現地企業のムノンボ社が共同で推進し、11年に鉱床を発見。その後のプレFSで良好な結果も得ている。昨年には南アフリカの白金族金属大手インパラ・プラチナム社の参画も決まり、同社の南アフリカでの鉱山操業の豊富なノウハウと地金の製錬能力が付加されたことで開発実現性がさらに高まった。

 今回の取引が成立した場合、阪和興業は同プロジェクトでインパラ社が生産する地金全量の購入権も取得できる。生産規模は現在実施している最終FS後に決定するが、同プロジェクトはプラチナやパラジウムなどの白金族、金のほか、ニッケルや銅も副産物として回収でき、1オンス当たりの生産コストは同地域で生産されている白金族金属鉱山の中で最も競争力が高いと評価されている。同プロジェクトのあるブッシュフェルドの北リム地域は、鉱床が比較的浅く、パラジウムの含有比率が高いのが特長。

 現在実施している最終FSは、来年9月をめどに完了する見通し。開発が決定した段階でJOGMECに残る権益12・195%はインパラ社が現金3480万米ドルで取得する権利を有する。さらにインパラ社は合弁会社に1億3千万米ドルの単独資金拠出を実行し、オペレーターとなる予定。

© 株式会社鉄鋼新聞社