〔秋田駒ヶ岳〕火山性地震は13日以降観測されず 引き続き今後の情報に留意を(3/14)

秋田・岩手県境の秋田駒ヶ岳では、火山ガスや熱水が関与していると考えられる、振幅の小さい低周波地震がカルデラ付近を震源として、2月16日に1回発生した後、3月6日から12日まで、合計6回観測されています。なお、13日以降は火山性地震を含め観測されていません。火山性微動は観測されておらず、地殻変動に特段の変化は認められません。
きょう14日、陸上自衛隊東北方面隊の協力による上空からの観測を予定していたものの、天候不良のため実施できず、東北地方整備局が設置している監視カメラによる観測も、天候不良のため状況を確認できていません。

気象庁では、2009年10月27日に導入した噴火警戒レベル1(活火山であることに留意)を継続しつつ、秋田駒ヶ岳では、火山活動の高まりを示している可能性があることから、今後の火山活動に関する情報に留意し、山に立ち入る際には、最新の火山情報を確認し、異常を感じたら、ただちに下山するなどの行動をとること、また、女岳周辺では噴気活動がみられることから注意するよう呼びかけています。

【火山性地震、低周波地震の回数】(速報値)
       火山性地震(うち低周波地震)
3月6日       2回     (1回)
  7日       2回     (2回)
8~10日       0回
  11日       2回     (2回)
  12日       1回     (1回)
  13日       0回
  14日(00~15時)  0回

◆秋田駒ヶ岳の火山活動の状況
<1890年>
・12月から翌年1月にかけ水蒸気噴火。鳴動、噴石など。

<1932年>
・07/21 女岳南西で水蒸気噴火。新火口、新噴石丘生成。泥流、降灰。樹木の枯死や有害ガス発生も。

<1970年>
・8月末頃、女岳山頂付近に噴気孔生成。
・09/18 噴火開始。溶岩流、火砕物降下。

<1971年>
・01/26 最後の噴火。以後数年間、時折噴気活動が活発に。

<1988年>
・06/19~/22 南西山麓(生保内付近)で地震群発、最大M3.9。

<1989年>
・11月から翌年4月にかけ、南東山麓で地震群発。

<2003年>
・5月から6月にかけ、山頂部ならびに北西山腹で低周波地震を含む地震群発。06/09(36回)・/10(75回)・/11(38回)
・06/09 調査観測開始。

<2005年>
・女岳で地熱活動活発化。地温上昇、噴気地拡大など。

<2009年>
・10/27 噴火警戒レベルの運用を開始 噴火警戒レベル1(平常/活火山であることに留意)

<2010年>
・02/24 振幅が小さく継続時間の短い火山性微動を観測。

<2011年>
・03/11 東北地方太平洋沖地震以降、山頂付近から北側約5km以内の範囲で地震活動が活発化(/21 04:48 M2.6)
・09/28 現地調査で、女岳北東斜面及び北斜面に新たな地熱域を確認。

<2015年>
・火山性地震が一時的に増加。05/07(29回)・07/15(29回)
・04/06 低周波地震を観測。

<2017年>
・09/14 火山性地震が急増(227回)、日別地震回数は2003年6月9日の観測開始以降最多に。

◆用語解説
「低周波地震」
・火山の周辺で起きる地震の1つ。地震波の周期が短く、P波・S波の明瞭な高周波地震に対して、低周波地震は地震波の周期が長いことが特徴で、震源の位置もはっきり求められないことが多い。火道内のガスの移動やマグマの発泡によって発生するものと考えられている。
「火山性地震」
・火山体およびその近くで発生する地震のこと。身体に感じられないような微小な地震も含まれる。火山体の地下で何らかの破壊現象が起きて発生すると考えられている。
「火山性微動」
・地下のマグマやガス、熱水などの移動や振動によって観測される震動のこと。地下の岩石等の破壊によって発生する地震とは異なり、震動が数十秒から場合によっては数時間にわたって観測されることもあり、震動の始まりと終わりが明確に観測されないことが多い。

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