【MLB】マリナーズGMに独占取材 イチロー起用法を明言「レギュラーとしてプレー」

マリナーズ入団会見に臨んだディポトGMとイチロー【写真:盆子原浩二】

戦力としてはもちろんリーダーシップにも期待

 マリナーズのジェリー・ディポトGMが独占インタビューに応じ、6年ぶりに古巣復帰を果たしたイチロー外野手について「レギュラーとしてプレーしてもらう環境がある」と語った。

 この春、ベン・ギャメルをはじめ外野手が続々と怪我に襲われたマリナーズ。就任4シーズン目を迎えるディポトGMは、マーリンズからフリーエージェント(FA)となっていた“レジェンド”に救いの手を求めた。イチローとの契約を決めた時期について「彼にレギュラーとしてプレーする機会があると判断した時だ」と明かす。最低でも50歳まで現役を宣言するメジャー最年長野手の代理人と連絡は取り合っていたが、投手が打席に立つナ・リーグに比べDH制のア・リーグでは控え野手の出場機会は少ないため「マイアミ(マーリンズ)にいた時のような役割は、ここでは難しい」と考えていた。だが、相次ぐ怪我により状況は変化。「今は彼にレギュラーとしてプレーしてもらう環境があるので、シーズン中、我々にどのような影響を与えてくれるかが楽しみだ」と期待を寄せる。

 11日(日本時間12日)レッズ戦に「1番・左翼」でオープン戦初出場。3打席に立って無安打2三振に倒れたが、「スイングが衰えておらず、やることも変わっていなかった」と目を細める。イチローについて「得点機を多く演出できるし走塁もよく守備も堅実。肩も二十代の選手並みに強い」と戦力面での評価は高いが、グラウンド内外での「リーダーシップ」にも期待している。

「彼の経験やベースボールIQは多くの選手のそれを遥かに越えている。メジャーでの17年間や日本球界での経験は彼を唯一無二の存在とした。少なくとも今世紀、他のどの選手よりも多くの功績を残してきたといっても過言ではない。オールスター、MVP、日米での新人王。彼は世界を股にかけて活躍しており、野球をどのようにプレーすればいいかを知っている。その自信は彼のふるまいなどにみてとれる」

もう1人のレジェンド、野茂の記念すべき瞬間も目撃

 ディポトGM自身は、投手としてインディアンス、メッツ、ロッキーズで8年プレーした。33歳を前に現役を退いただけに、44歳を迎えてもなお、プレーし続けるイチローの姿に「彼の柔軟性と運動神経は衰えない。44歳という年齢を考えると信じられないことだが、医療的な検査をしてみても、彼の体はまるで今よりも20歳若いように見える。彼はまだフィニッシュラインにはたどり着いておらず、まだまだ先は長い」と感嘆の声を抑えられない。

 史上30人目の通算3000安打を達成し、殿堂入りは確実と言われているイチローのシアトル帰還を演出したディポトGM。入団会見では終始感慨深げな表情を浮かべていたが、実は日本が誇るもう1人のレジェンドの記念すべき瞬間にも立ち会った経験がある。1995年6月2日。ドジャース野茂英雄がメジャー初勝利を飾った試合で、対戦相手メッツの2番手として8回のマウンドに上がっていた。当時を振り返り、「ノモの独特なトルネード投法と凄まじいフォークはよく覚えている。1995年は圧倒的だったし、そこから数年ナ・リーグを代表する投手の一人だった。そんな彼の初勝利に立ち会えて、うれしく思うよ」と笑顔を見せた。

 メジャー最年長野手イチローを擁するマリナーズは今季、2001年以来となるプレーオフ進出を果たすことができるのだろうか。ディポトGMはその歴史的瞬間を心待ちにしている。

(Full-Count編集部)

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