『ニワトリ★スター』 バイオレンス×青春、まさかの号泣という驚きのファンタジー

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 大阪黒門市場にある巨大なアート建物「道草アパートメント」のオーナー、そしてミュージシャンという異色の経歴を持つかなた狼の初監督作品です。主演を務めるのは、現在「アンナチュラル」で人気を集めている井浦新。共演は、ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」で注目された若手俳優の成田凌。二人の演技はもちろん、本作に出てくる役者たち一人一人を紹介したいくらい、どんな小さな登場シーンでも役者全員が頭から離れない強烈な印象を残しています。

 井浦が演じる大麻の売人である草太と、成田演じる全身タトゥーのモヒカン男子の楽人の気楽な生活を圧倒的な暴力でぶっ潰すのは、津田寛治が演じる残虐なことを笑いながら楽しむ不気味なヤクザ。ドラッグとヤクザなんていうコンビネーションを聞くとよくあるどぎついバイオレンス描写が売りの青春映画に思えるかもしれません。でも実際に観ると、まるで違う! そんなシンプルな話じゃないんです。あっという間にジェットコースターのような作品世界に引きずり込まれて、気づけば大号泣して、とんでもなく熱い気持ちにさせられてしまう。 観たことのないファンタジー映画です。

 最近の日本映画界は映画『ビジランテ』の入江悠監督や『全員死刑』の小林勇貴監督、『彼女がその名を知らない鳥たち』の白石和彌監督など、面白い監督が本当にたくさん! そんな中で、かなた監督もこれからの日本映画を盛り上げてくれる一人になってくれるでしょう。新たな才能に出会えたことが嬉しくて、ワクワクした作品でした。★★★★☆(森田真帆)

監督:かなた狼

出演:井浦新、成田凌、紗羅マリー

3月17日(土)から全国順次公開

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