金属行人(3月13日付)

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 安全保障や貿易ルールなどで有効な提案があれば「対象国からの除外を検討します」。まさに交渉好きのトランプ米大統領だが、自国の安全保障の脅威はどこに行ってしまったのか▼世耕弘成経済産業相は先週末、米国のライトハイザーUSTR(米通商代表部)代表とベルギーのブリュッセルで会談し、日本の鋼材やアルミ製品が米国の安全保障上の脅威とはなっていないと説明、対象国からの除外を求めた▼米国の232条発動をセーフガード(緊急輸入制限)措置と見なし、対抗的な報復措置を示唆している欧州委員会に対しては、WTO(世界貿易機関)のルールを逸脱しないよう自制を促した▼トランプ流のディール、「目には目を」のEUに対し、日本政府の対応はややおとなしく映るが、その主張は冷静かつ、妥当だ。保護主義の連鎖は、鉄鋼業界のみならず、ユーザー産業の健全な発展に悪影響を及ぼすとの考え方が根底にある▼トランプ大統領が232条の発動に署名した先週、パリでは鉄鋼の能力過剰問題を話し合う多国間協議が開かれた。米国の鉄鋼業界が嫌悪する輸入増の背景には能力過剰問題がある。米国はこの枠組みに対し「実効性に欠ける」と懐疑的なようだが、問題の根を抜き取るには、地道な取り組みの積み重ねしかない。