愛知製鋼、「刈谷工場旧試作工場」が登録有形文化財に

 愛知製鋼(社長・藤岡高広氏)は9日、ステンレス形鋼などを製造する刈谷工場(愛知県刈谷市豊田町)敷地内にある旧試作工場(自動車)が、文化財保護法に基づく「登録有形文化財(建造物)」として登録するよう、文化庁文化審議会から文部科学大臣に答申した、と発表した。

 登録有形文化財(建造物)は、消滅の危機にさらされている近代等の文化財建造物を、後世に継承するために創設されたもの。 

 今回、文化審議会では新たに196件の建造物の登録を答申。その中に刈谷工場旧試作工場が含まれていたもの。

 同工場は、かつて豊田自動織機製作所(現豊田自動織機)製鋼部だった時代に、同社の自動車部(現トヨタ自動車)が試作工場として使用していた場所(1934年建設)。創業者である豊田喜一郎氏がトヨタ自動車の始まりでもある「A1型試作乗用車」を完成させた歴史的な建屋。

 工場は、10年ほど前までは部品整備工場として使用していたが、その後、安全や耐震の面で施設の取り壊しを検討した経緯もあるが、現状では、トヨタ創業時の姿を肌で感じる場所として保存されている。

 今後、同工場はトヨタグループ共有の財産として、トヨタ産業技術記念館が運営し各種研修などでの活用や一般公開を検討している。

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