矢崎総業と慶應大など、鋼材超平滑加工で新技術 3Dプリンタなどで活用

 矢崎総業(本社・東京都港区、社長・矢崎信二氏)は慶應義塾大学などと共同で、2種類のレーザを用いて鋼材を超平滑加工する技術を開発したと発表した。極めて短い間隔で点滅するパルスファイバレーザーでミクロンレベルの凹凸を除去。さらに連続波レーザで1ミクロン以下の水準で表面を平滑化するもの。3Dプリンタによる金属造形品を高速・高品位に仕上げ加工するための技術として期待される。

 3Dプリンタを用いた金属の積層造形に加え、金属の切削加工では表面を滑らかにする仕上げ加工に技術や時間を要することが課題だった。また加工形状にも制約があった。今回確立した2種類のレーザを用いた加工技術の確立は、その課題の解決につながるもの。

 開発は矢崎総業技術研究所と慶応大学理工学部の閻紀旺教授、オプトクエストの3者が共同した研究グループとして進めてきた。従来のレーザ研磨と比較して熱影響を大幅に低減しているほか、微細形状や曲面形状への適用が容易なことも特長となっている。

 今後は金属積層造形品の表面粗さの低減に加えて、同一の装置でパルスレーザと連続波レーザの加工ができる手法の開発などを進めながら実用化を目指していく。今回の研究成果の一部は15日から東京都文京区の中央大学後楽園キャンパスで行われる精密工学会2018年度春季大会で公開する予定。

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