卒業生58人に似顔絵 小浜中の美術教諭 感謝の手紙に〝お返し〟

 長崎県内ほとんどの公立中学校で卒業式があった14日、雲仙市立小浜中(草野康幸校長、160人)では美術担当の柴田貴子教諭(44)が卒業生58人全員に似顔絵をプレゼント。教室横の階段に飾られ、門出に花を添えた。
 似顔絵を描いたきっかけは3月初めに3年生からもらった手紙。「先生のおかげで美術の楽しさに目覚めた」などとつづられた感謝の思いに背中を押され、“お返し”をしようと絵筆を走らせた。
 生徒一人一人の写真を基に色紙に鉛筆で下描きし、水彩絵の具で着色。優しさや明るさといった、生徒それぞれが持つ雰囲気を描こうと心掛けた。約10日間、30時間以上かけて全員分が完成。式の当日朝、全教員で3年生の教室へ向かう階段に飾り付けた。
 卒業生は、学校生活最後の思わぬ贈り物に「似てる」「実物よりかっこいい」などと声を弾ませた。柴田教諭は「これからいろんなことがあると思うが、前を向いてそれぞれの道を進んでほしい」とエール。元気いっぱいの似顔絵を手にした城谷日和さん(15)は「3年間の思い出が一気によみがえってきた。ずっと大事にします」。描かれたままの笑顔を見せ、学びやを後にした。

階段に飾られた似顔絵に笑顔を見せる卒業生=雲仙市、小浜中

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