<金口木舌>一刻争うネット上のヘイト対策

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 高校進学を控えた川崎市の男子生徒(15)が生活に不安を訴えているという。韓国籍と日本籍を持つこの生徒は、ヘイトスピーチを浴びた経験を基に作詞してラップで表現、新聞やニュースサイトで実名で紹介された▼するとネット上で生徒を名指しした差別的な書き込みが転載を含めて数十万件に及んだ。「公開リンチの様相だ」。事態を重く見た神奈川県弁護士会はネット上のヘイトスピーチによる人権侵害に警鐘を鳴らす会長談話を発表した

▼東京MXの番組「ニュース女子」は基地反対運動をテロに例え、在日韓国人の辛淑玉(しんすご)さんを「黒幕」と報じた。放送倫理・番組向上機構(BPO)はそれを人権侵害と認めた。MXは番組の放送を打ち切るが、制作会社はネットで放送を続けるという

▼ネットでのヘイトは拡散の一途だ。そんな中、ヘイトスピーチを許さない川崎市民ネットワークは今月、早急に実効性ある人種差別撤廃条例の制定を求める意見書を市に提出した

▼意見書はネット対策の強化をうたう。差別的な書き込みの削除を求める監視体制、削除要請した書き込みやその要請結果を公表する制度、それらの財政措置などを求めている

▼2016年にヘイトスピーチ対策法ができたものの、ネット対策は一向に進んでいない。川崎は全国の先駆けになってほしい。この瞬間も誰かが傷つけられている。対策は一刻を争う。