紅久商店、ミックスメタルの選別精度強化でAI搭載機を導入

 中部地区大手鉄スクラップヤード業者の紅久商店(愛知県豊橋市、社長・三浦圭吾氏)は、集荷したミックスメタルなどの選別精度をさらに向上させる技術開発に着手した。その一環として、本社工場にAI(人工知能)を搭載した色彩形状選別機を新設。試験運転に入った。本格稼働後は将来発生増が見込まれるミックスメタルの選別処理を強化し、再資源化原料の高付加価値化を狙う。

 同社の創業は江戸時代だが、金属リサイクルは1902年(明35)に開始した中部地区老舗ヤード業者。最近は、小型家電リサイクル法に基づく再資源化事業の認定業者に国内で初めて認定されたことを機に、小型家電リサイクルも手掛ける。金属とプラスチックの選別をほぼ完全に行う業界初の乾式リサイクルラインを開発し、高精度かつ高効率的に金属とプラスチックの分離を実現したことが評価され、昨年には愛知県が資源循環や環境負荷低減技術や製品を表彰する「愛知環境賞」の銀賞を受賞している。

 今年4月1日には改正廃棄物処理法、同10月には改正バーゼル法が施行される。改正バーゼル法では、鉛を含む電気製品など有害廃棄物の輸出入規制がさらに強化される。ミックスメタル(雑品)に混入している原料も規制の対象となっていることに着目した同社では、ミックスメタルの選別技術を強化し、高品位化を図る技術開発への取り組みを開始した。

 これまでミックスメタルの選別は、風力や磁力などで選別してきたが、処理する原料の大きさが小さくなるほど、有価物の回収が困難となるため、径40ミリ以下のシュレッダーダストをAIで色や形状で選別する設備を新たに導入した。処理能力を引き上げながら、再資源化した原料の競争力を高めるとともに、最終排出物の低減を実現する。

© 株式会社鉄鋼新聞社