金属行人(3月16日付)

 季節を先取りするような暖かさが続く東京では、桜が例年よりも早く開花すると予想されている。来週末ぐらいが満開との予想もあり、そろそろ花見の計画を立て始めても良いかもしれない▼残りわずかとなった今年度を振り返ると、企業を取り巻く環境は悪くなかったのではないか。素材需要に大きな影響がある自動車関連産業が堅調だったことも大きいが、特に目立ったのが半導体関連市場。IoTの浸透やスマートフォンの高機能化などで活況な一年だった▼半導体市場の好況は当面継続するとみられている。かつては数年で好不況が変動する「シリコンサイクル」が見られた半導体産業だが、現在はそれを超える「スーパーサイクル」に入っている。関連部材を供給する関係者も「現在主流の部材が新しいものに切り替わるにはまだ時間がかかる。当面は好調な需要が続くだろう」と強気な見方をしている▼半導体に使われる単結晶シリコンの国内生産は今年も過去最高を更新する見通しだ。昨年からフル操業が続く中、今年は生産性向上による増産分しか供給を増やせないそう。今後も自動車の電装化や自動運転化の進展などで需要拡大が見込まれている。まだまだ満開の需要を享受できそうだ。

© 株式会社鉄鋼新聞社