憧れのカブスでメジャー昇格を目指す29歳の苦労人・コート

2016年11月4日、ライアン・コートという名のカブス・ファンは、父とともにカブスの優勝パレードを訪れていた。昨季レッドソックスのAAA級で106試合に出場したコートは、現在招待選手としてカブスに帯同し、開幕ロースター入りに向けてアピールを続けている。

「僕は人生を通じてずっとカブス・ファンだよ。ワールドシリーズのパレードにも行ったんだ。朝7時の電車に乗って、パレード会場へ向かったよ」とコートは当時を振り返る。父とともにシカゴ川の近くのミシガン通りを歩いていたコートは、人が多く大変混雑していることに気付き、最終的にはバーに入ってテレビでパレードを見ることに決めたという。昨季はレッドソックス傘下のAAA級でプレイし、シーズン終了後にフリーエージェントとなり、マイナー契約で憧れのカブスに加入。現在は招待選手という立場で、開幕ロースター入りのチャンスをうかがっている。

2011年のドラフトでダイヤモンドバックスから23巡目(全体694位)指名を受けてプロ入りしたコートは、まだメジャー経験はないものの、すでに29歳。オープン戦ではここまで19試合に出場し、打率.364、3本塁打、5盗塁、OPS1.144の好成績を残しているだけでなく、内野4ポジションと外野の両翼の守備をこなし、ユーティリティ性を存分にアピールしている。メジャーで全く実績のないコートがアンソニー・リゾーやクリス・ブライアントといった主力選手のレギュラーの座を脅かすとは考えにくいが、内外野を守れるユーティリティ・プレイヤーとして開幕ロースターの最後の1枠を勝ち取る可能性はゼロではない。しかし、カブスにはベン・ゾブリストやイアン・ハップといった高性能なユーティリティ・プレイヤーがおり、コートが厳しい立場にいることは否定できない。

現在の好調を維持できれば、他のチームなら開幕ロースター入りのチャンスがあるだろう。ところが、コートは「このチームでデビューしたいんだ」とカブスへのこだわりを口にする。コートの挑戦はどのような結末を迎えるのか。開幕まであと2週間。29歳の苦労人の奮闘に注目したい。

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