目撃に行こう

 何回見ても気分がいい。直前のミスを帳消しにするのだ、と強い意志を込めた豪快なミドル。先発起用に応えたい、結果を出したい、と右足に思いをのせたフリーキック。2点とも胸のすくようなファインゴール。ただ▲V・ファーレン長崎、記念の初勝利は水曜日の夜。“歴史の目撃者”は3738人。スタジアムは空席が目立った。翌日も仕事や学校があると現地での観戦は厳しい。無理にでも見に行くのだった…そう悔やんでいるファンもさぞ多かろうが▲総務省の家計調査(2017年)によると、全国の県庁所在地の中で、1年間の1世帯当たりの「スポーツ観覧料」支出が一番少なかったのは長崎市だった。その額81円。100円玉でお釣りが▲調査対象の世帯数が少なく、年ごとに上下動はありそうだが、驚きの数字だ。ちなみにトップは、野球のカープとサッカーのサンフレッチェに熱い声援を送る広島市の3922円▲考えてみれば、現地での観戦には時間やおサイフとの相談も必要だ。言うまでもない、チームを息長く支えるには無理は禁物。それでも▲知らない同士が感動や興奮を共有できる空間を他にあまり思いつかない。「ナガサキ、ナガサキ」と連呼するのだから、この場で郷土愛が育たなければウソだ。だから改めて-応援に行こう。(智)

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