秦野名水底見えず 深さ想定外300メートル超

 秦野盆地の地下にある帯水層の深さが、従来想定してきた210メートルではなく、300メートル以上あるとみられることが秦野市のボーリング調査で分かった。地下には芦ノ湖の約1・5倍の2・8億トンと推定される巨大な水がめがあると考えられてきたが、想定よりも水量が多い可能性があるという。秦野名水の水源を調べていた市が16日、専門家向けの説明会で明らかにした。

 地下にある水がめの底を見極めて、より正確な水量を把握しようと同市平沢の秦野球場近くで昨年9月に調査がスタート。年末には掘り終わる予定で、県の補助金を使い、市は費用を1900万円と見込んでいた。

 ところが、想定の210メートルを超えても底にとどかず、2月下旬にボーリングマシンの性能限界の300メートルに。調査期間が延びた分、費用も2500万円に増えた。ただ、それ以上、掘り進めるには大型の機械に変える必要があるため、底の把握はひとまず断念した。

 市環境保全課は「予想をはるかに超える深さだった。現在、データを分析中だが、帯水層も想定より大きそうだ。来年度は別の場所も調査し、さらに正確な水量を把握できるようにしたい」と話している。

 同市内の地下水は秦野名水と呼ばれ、1985年に国の名水百選に選ばれた。2016年には環境省の「名水総選挙」のおいしさ部門で1位となった。市内の水道の水源の7割は地下水で、浄水費用がかからないため、市内の水道料金は県内で2番目に安い。

 市は水源保全に力を入れており、人口減や財政難打開の切り札にしようと名水の利活用方法を模索。ブランド力アップを目指して水源を調査していた。

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