雲仙・普賢岳山頂付近で不安定に堆積する溶岩ドーム(約1億立方メートル)の崩落に備え、国土交通省雲仙復興事務所が進めていた水無川(長崎県島原、南島原両市)の砂防ダム2基のせきのかさ上げ工事が18日、完成した。水無川では大雨や地震による土石流対策の砂防工事は続くが、溶岩ドーム対策のハード整備は完了した。
国交省は、溶岩ドームの崩落対策の強化が必要とした有識者検討委員会の提言を踏まえ、2015年1月から工事をしていた。かさ上げしたのは、せきの高さが18メートルだった水無川1号砂防ダム(溶岩ドームから約4・5キロ)と2号砂防ダム(同約4キロ)。中央の「水通し」部分を除き、1号は807メートル、2号は533メートルにわたってコンクリートで4・5メートルかさ上げした。土石流衝突の衝撃を和らげてせきを補強するため、側面に盛り土計約23万立方メートルを施した。事業費は約28億円。
溶岩ドームの崩壊は5段階(流出土量768万~5376万立方メートル)で想定している。かさ上げで、発生可能性が最も高いとみられているケース3(同1792万立方メートル)まで対応可能となる。かさ上げ前と比べ、流域の計約1平方キロで人家や事業所、田畑の被害を抑えられるという。
南島原市深江町の大野木場砂防みらい館で記念式典があった。雲仙復興事務所の松岡忠浩技術副所長は取材に「溶岩ドーム観測や防災訓練などのソフト対策と組み合わせ、住民の生命や財産を守る必要がある」と話した。
雲仙・普賢岳 砂防ダムかさ上げ完成 溶岩ドーム崩落対策
- Published
- 2018/03/19 00:15 (JST)
- Updated
- 2018/12/10 14:30 (JST)
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