瀬戸内クラフト、アルミ船舶の建造能力強化 生産棟増築、組立てエリア拡充

 アルミ合金船舶の製造を手掛ける瀬戸内クラフト(本社・広島県尾道市、社長・川口洋氏)は船舶の建造能力を強化する。数億円を投じて本社工場敷地内に新たな生産棟を建設。船舶の組み立てスペースを拡張するほか、上部構造物の製造能力を引き上げる。繁忙時期に顕在化していた手狭感を解消し、生産効率や品質の向上を目指す。

 新建屋は本社工場の空きスペースに建設する。土地面積は約720平方メートルで、今春をめどに着工し年末までに稼働させる考え。新工場では、船舶の本格的な組み立て(大組立)前に行う準備工程(小組立)エリアを設ける。また協力会社で製造していた上部構造体も一部移管する。加工スペースを広げることで段取り替えなどの効率化を図るとともに、安全な作業環境の実現も狙う。

 瀬戸内クラフトは、生産効率化を目的にした設備投資を数年間かけて取り組んできた。15年には、既存工場を高さ12メートルの新建屋と新事務所に建て直し、17年にはCADデータの入力でマーキングから切断までを自動化できる設備を導入。アルミ船舶市場が大きく伸びないという予測の下、「生産効率を向上させることで企業価値を高める取り組みを続けている」(川口洋社長)としている。

 このほか現在は本社隣接地に社員寮も建設中。工場の作業環境改善だけでなく、働きやすい職場づくりにも努めている。

 瀬戸内クラフトは1944年に設立した山陽機械工業(現瀬戸内工業)の船舶艤装品部門を母体とし、70年から本格的なアルミ合金船舶の製造に参入。80年に瀬戸内クラフトとして分社化し、89~2003年まではスカイアルミニウムの子会社だったが、古河スカイの誕生とともに川口社長が全株式を引き受けて現在の経営体制に至っている。

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