オープン戦の成績から探る 2018年ブレーク予報、全12球団の期待の若手は

ヤクルト・廣岡大志(左)とロッテ・平沢大河【写真:荒川祐史】

12球団から1人ずつピックアップ、アピールを続けている選手は?

 シーズンに向けた調整の場となるオープン戦期間も残り1週間を切った。各球団は選手の見極め、ふるい落としが進み、残りの期間は、シーズン本番を見据えた戦いへとシフトしていくことになるだろう。 

 各球団が10試合超を戦ったオープン戦。20日終了時点で、巨人が10勝4敗で12球団でトップに立つ。その一方で、昨季のセ・リーグ王者である広島が2勝7敗2分の11位、昨季日本一のソフトバンクも引き分けを挟んで8連敗し、3勝8敗1分の10位に沈んでいる。阪神が2勝10敗1分の最下位だ。 

 ただ、オープン戦はあくまで調整の場であり、勝敗は二の次。それよりも、選手の調整がどれだけ進んでいるか、新戦力の台頭があるか、が重要なポイントとなる。そこで、オープン戦期間を見た中で、2018年の有望若手を独断で各球団1人ずつピックアップしてみよう。オープン戦の成績順に紹介していく。 

1位 巨人(14試合10勝4敗0分) 

○岡本和真(14試合50打数14安打4本塁打13打点 打率.280) 
 巨人は何と言っても“眠れる大砲”岡本だろう。智弁学園高から2014年のドラフト1位で入団した21歳が覚醒の予感を漂わせている。4本塁打はゲレーロ、レアードに次ぐ3位タイ。ほぼ毎試合のように安打を放っている。一塁は阿部慎之助、三塁はマギーと、ライバルは実力者だが、阿部がオープン戦で大不振とあり、一塁での開幕スタメンも大いにあり得るだろう。 

2位 DeNA(12試合7勝3敗2分) 

○櫻井周斗(5試合1勝0敗0セーブ 防御率0.00) 
 日大三高から2017年のドラフト5位で入団したルーキー左腕。鋭く曲がるスライダーが武器で、高校時代に早実の清宮幸太郎(日本ハム)から5打席連続三振を奪ったことでも知られる。11日のオープン戦でも清宮と対戦し、見逃し三振に仕留めた。オープン戦5試合で打たれた安打はわずか1本だけ。無失点を続けており、開幕1軍を射程に捉えてる。DeNAにはこの他にも、打率5割超、2本塁打を放っている楠本泰史をはじめ、東克樹、神里和毅、佐野恵太と楽しみな若手が多い。 

ロッテ平沢は3年目でブレークの兆し、中日はドラ1右腕が存在感

3位 ロッテ(11試合6勝3敗2分) 

○平沢大河(11試合27打数9安打0本塁打2打点 打率.333) 
 2015年のドラフト1位で仙台育英高から入団し、今季が3年目。大器として期待されながら、過去2年は伸び悩んでいたが、ここに来て成長の兆しを見せている。ロッテは平沢と同じ遊撃手にドラフト2位で藤岡裕大が入団。キャンプ中の練習試合からこの藤岡裕が結果を残し、レギュラー定着が有力と見られてきたが、3月初旬に首痛で離脱。そこから平沢が猛アピールしてきており、定位置争いは混沌としている。 

3位 楽天(12試合8勝4敗0分) 

○内田靖人(12試合33打数15安打2本塁打9打点 打率.455) 
 常総学院高から2013年のドラフト2位で入団した和製大砲。昨季はイースタン・リーグの本塁打、打点の2冠を獲得している。オープン戦では打率.455のハイアベレージを残しており、2本塁打9打点はともにチームトップ。5年目を迎え、いよいよ開花となるか。 

5位 ヤクルト(13試合6勝4敗3分) 

○廣岡大志(13試合43打数10安打2本塁打11打点 打率.233) 
 2015年のドラフト2位で智弁学園高から入団した期待の遊撃手。昨季はイースタン・リーグで16本塁打を放ち、パンチ力と機動力を兼ね揃える。オープン戦での打率は.233と高くないが、12球団3位の11打点とチャンスで結果を残している。今季のレギュラー獲りを期待されている若手である。  

6位 西武(12試合6勝5敗1分) 

○伊藤翔(4試合0勝0敗0セーブ 防御率1.29) 
 四国アイランドリーグplusの徳島インディゴソックスから2017年のドラフト3位で入団したルーキー右腕。横芝敬愛高から徳島を経て、1年でプロ入り。最速152キロのストレートが最大の武器で、オープン戦では4試合7イニングを投げて1失点と結果を残している。中継ぎ陣の一角として、開幕1軍入りに近い存在となっている。

オリ宗はリードオフマン候補に、ホークスの逸材・田中もついにブレーク?

7位 オリックス(11試合5勝5敗1分) 

○宗佑磨(11試合42打数13安打4本塁打5打点 打率.310) 
 横浜隼人高から2014年のドラフト2位で入団し、4年目を迎える。高い身体能力が武器で、昨季はイースタン・リーグで打率.279とまずまずの数字を残した。昨季までは内野手だったが、今季から外野手へコンバート。オープン戦序盤には2試合連続先頭打者本塁打を放ち、ここまで12球団で3位タイとなる4本塁打。オリックスの新たなリードオフマンとして期待される。 

7位 日本ハム(12試合5勝5敗2分) 

○横尾俊建(12試合31打数9安打3本塁打3打点 打率.290) 
 2015年のドラフト6位で慶応大から入団し、3年目を迎える和製大砲。昨季50試合に出場して7本塁打、“おにぎりくん”の愛称でプチブレークした。オープン戦でも持ち味の長打力は健在で、既に3本塁打を放っている。今季は定位置を掴み、1年間1軍での活躍をしたいところ。日本ハムは森山恵佑、平沼翔太の2人も楽しみな若手だ。 

9位 中日(12試合5勝7敗1分) 

○鈴木博志(4試合0勝0敗0セーブ 防御率0.00) 
 社会人のヤマハから2017年のドラフト1位で入団した即戦力右腕。最速157キロの真っ直ぐと手元で小さく変化するカットボールが武器。「勝利の方程式」の一角に組み込まれる見込みで、オープン戦でも4試合に投げて無失点を継続。制球に課題が残るものの、能力は高い。中日は、育成の木下雄介投手も楽しみな選手である。 

10位 ソフトバンク(12試合3勝8敗1分) 

○田中正義(5試合0勝0敗0セーブ 防御率2.57) 
 創価大から2016年のドラフト1位で入団。昨季は右肩の故障に苦しみ、1軍登板無しに終わった5球団競合右腕だが、今季は1軍の舞台で競争を続けている。層の厚いチーム内で、開幕1軍に近い若手は、この田中か。5試合に投げて2失点。課題も多いが、ポテンシャルの高さも随一だ。笠谷俊介、高橋純平、古谷優人といった若手はファームで先発経験を積ませ、ローテのバックアップとする方針。 

11位 広島(11試合2勝7敗2分) 

○高橋昂也(2試合0勝0敗0セーブ 防御率0.00) 
 2016年のドラフト2位で花咲徳栄高から入団した2年目の左腕。1軍キャンプに抜擢され、オープン戦2試合8イニングを投げて、自責点ゼロの2失点。3月17日のウエスタンリーグの中日戦(ナゴヤ)で“ファーム開幕投手”を務めて6回1失点、9個の三振を奪う好投を見せた。開幕ローテ入りも期待される19歳のサウスポーだ。また、中継ぎの塹江敦哉、ドミニカ人のメヒアもオープン戦でアピールしている。 

12位 阪神(13試合2勝10敗1分)  

○才木浩人(1試合0勝0敗0セーブ 防御率0.00) 
 須磨翔風高から2016年のドラフト3位で入団した19歳の右腕。最速150キロ超を誇り、今春の宜野座キャンプでも猛アピール。オープン戦初登板だった3月6日のDeNA戦は4回無失点と好投。その後の春季教育リーグでの登板でも好投している。先発ローテ6番目を、同じくオープン戦で好投を続けている小野泰己と争っている。

(沢井史 / Fumi Sawai)

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