【きらりと光るわが社の〝得意技〟】〈アスク〉電線皮剥離機「電線マン」、超小型軽量で簡単操作 障がい者就労支援にも貢献

 アスク(本社・枚方市、社長・長倉健太郎氏)は、金属・樹脂の試作部品加工を手掛けている。パナソニック(守口工場)の技術者だった長倉貞雄会長が、1989年に会社を興した。従業員は40名。2018年3月期売上高は12億円を見込んでいる。

 工場内には最新鋭の5軸マシニングセンタをはじめ、複合旋盤、NC旋盤、レーザ加工機、プレス、形彫放電加工機など約80台をそろえ、ワンストップ体制を構築済み。手の平サイズの小物部品限定での鉄・非鉄・樹脂製品の試作に特化し、超短納期かつ単品・小ロット対応が得意。「試作部品をどこよりも速くお届けすることが当社の存在価値。見積りは1時間でお応えし、製品は通常4~5日で納品する」(長倉純平取締役)。

 一押し商品は、2011年から電気工事業者や障がい者施設向けに発売している超小型軽量の電線皮剥離機「電線マン」だ。長倉会長は「(当時)テレビで見た中国環境問題の一因は日本を含む近隣諸国の雑線輸出にある。解決の一助になる製品を…」と考えた。細径特化型の製品はそれまで無かったが、自社開発に踏み切る。プロトタイプは重量が50キログラムもあり全く売れなかったそうだが、地道に改良を重ねた。

 「電線マン」には「ADM―150便利くん」「同―V1―S一発君」「同―07らくらく」の3種がある。「細径専用機種の挿入口は指が入らず安全・安心。しかも簡単に操作ができる。10~20キログラムと軽量であり、サイズも『便利くん』でW297D210H171ミリメートルと超小型で持ち運びが簡単。家庭用電源で使用可能な点も特長だ」(同)。

 3種の主な仕様などは次の通り。「便利くん」は重量が約12キログラム、剥離速度が毎分約20メートル。万能タイプの人気ナンバーワンの商品で、刃物高さを調整し外径1・4~21ミリメートルの電線皮が剥離できる。価格はオープンだが税込み34万円。

 「一発くん」は重量が約20キログラム、剥離速度が毎分約10メートル。3種の中で唯一、二重被覆のVVFケーブルの被覆を1回の作業で剥離できる。同52万円。

 「らくらく」は重量が約10キログラム、剥離速度が毎分約11メートル。少量の細径電線のリサイクルに最適で、各種電線に対応が可能。同52万円。3種累計販売数は今では約1100台に達している。

 「電線マン」を活用した福祉との協働にも積極的だ。本社内にて障がい者達が電線剥離作業を行う、就労継続支援B型事業所「夢桜ホーム」があり、約20人が働く。「社外の授産施設を含め、電線リサイクル事業に約80人が関わる。賃金実績は、大阪府障がい者B型平均月額の2・4倍。意義深い事業であり、更なる拡充を図りたい」(同)。(白木 毅俊)

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