JAPIC関西委員会、「新大阪駅周辺の都市機能強化」提言 都市基盤・交通インフラ整備など

 鉄鋼メーカーや建設業界などで構成するJAPIC(日本プロジェクト産業協議会、会長・宗岡正二新日鉄住金会長)の関西委員会(委員長・松野正人新日鉄住金常務執行役員大阪支社長)が「新大阪駅周辺エリアの都市機能強化~関西の30年後を見据えた『新大阪創生プロジェクト』~」と題する提言をまとめ、先週13日、松野委員長から国交省近畿地方整備局の池田豊人局長に同提言が手交された。

 提言は、将来、リニア新幹線や北陸新幹線が大阪に延伸される際、新大阪駅周辺エリアを、近未来を意識した先端産業拠点として都市基盤整備を進めるとともに、大阪・関西や西日本のゲートウェイにふさわしい交通インフラを整備して都市機能を強化していこうというのが骨子。

 大阪では2014年のJR大阪駅北側「うめきた2期」や、25年の大阪万博、統合型リゾート(MICE―IR)構想や、大阪湾岸線西伸および淀川左岸線延伸など高速道路整備。31年開通予定の地下鉄・なにわ筋線および阪急新大阪連絡線、37年ごろ予定のリニア中央新幹線大阪延伸構想、46年ごろ予定の北陸新幹線大阪延伸構想など主要イベント・インフラ整備計画が想定されている=図1。

 こうした動きに対応して関西委は、大阪・関西・西日本の玄関口である新大阪駅周辺の都市基盤整備と、淀川を挟んだ梅田など大阪都心との一体化、鉄道・バスおよび周辺道路への連絡簡便化などが必須、と提言をまとめた。

 具体策としては、(1)新大阪駅周辺エリアの開発=第1期として駅ターミナルビル・宿泊施設などの整備。第2期として駅を中心に先端産業拠点・MICE地区、国際機関・官庁地区、オフィス・商業地区、住宅地区など都市基盤整備(2)地下多層階構造の鉄道地下駅およびバスターミナルの建設と、同ターミナルに連絡し、高速・淀川左岸線や名神高速などに接続する新御堂筋地下バイパスの建設(3)新御堂筋・新淀川大橋に隣接して、歩行路とパーソナルモビリティ専用路を設置したピアレス斜張橋「新淀川第2大橋」の建設および淀川舟運活用の観光資源創出―など3点=図2。

 手交式で池田近畿整備局長は「リニア新幹線や北陸新幹線の大阪延伸構想は、はっきりしたルートが決まっていないが、有力な導入地区である新大阪駅の周辺について、新しい開発がどうあるべきか議論を始めなければいけない時期に来ている。今回の提案をエンジンにしていきたい」と感想を述べた。

 JAPICの提言はこれまで、東京湾横断道路(アクアライン)、つくばエクスプレス、関西空港などで具体的に実現してきた。

 今後、国交省や大阪府・市、JR、民間交通などが議論していく際の「たたき台」の一つとして活用されていくことをJAPICでは期待している。

 JAPICは37業種・210社の団体・企業・地方自治体・大学・NPOなどで構成しており、関西委員会の幹事社は、新日鉄住金、神戸製鋼所、大林組、竹中工務店、鹿島建設、清水建設、大成建設、日建設計総合研究所、日鉄住金物産、関西電力、大阪ガス、日本政策投資銀行、関西経済連合会、アジア太平洋研究所。

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