「悩んでいます」復活を目指す松坂の告白 “代名詞”ワインドアップの行方

投球フォームで悩む中日・松坂大輔【写真:荒川祐史】

助走をつけた投球練習で「いいイメージをつけられるように」

「相変わらず悩んでいます」

 中日の松坂大輔投手がこう話したのは、昨季まで在籍したソフトバンクの本拠地ヤフオクドームでチームがオープン戦を戦った20日のことだった。この2連戦、登板機会のない右腕だったが、新天地での遠征の流れを確認するなどの狙いがあって遠征に同行することになった。

 2連戦の初戦となった20日。試合前の練習で、キャッチボールなどを終えた松坂は、一度ロッカーへと戻り、スパイクに履き替えて再びグラウンドに姿を見せた。そして、森繁和監督が後ろから見守る中で、三塁後方から一塁に向けて助走をつけての投球を繰り返した。

「今の課題はストレートの強さ。もう少し強いストレートを投げられるように、いいイメージをつけられるように。助走をつけていいボールを投げたイメージを、マウンドで出せれば良くなるかなと。以前は状態が悪くなった時にやってきたもので、イメージが作りやすいんです」と、その狙いを説明した。

 このを終えると、平地ではあるが、ピッチングフォームを作って、ほぼ全力でボールを投げ込んだ。ここでの松坂は、14日の西武戦で“解禁”したワインドアップではなく、ノーワインドアップでボールを投じていた。

 冒頭のコメントは、このノーワインドアップについて問われた時の答えだ。ワインドアップで投げるのか、それ以外の可能性を探るのか、右腕は悩んでいるという。

代名詞は“タメ”を作るワインドアップだが…

 松坂のノーワインドアップは、2016年シーズン終了後に参加したプエルトリコのウインターリーグで挑戦し、この形で2017年3月25日の広島戦(ヤフオクD)で7回無安打無失点の好投を演じている。

 ワインドアップへのこだわりを見せる一方で、バランスが安定しやすいセットポジションやノーワインドアップの可能性も残したまま。14日の西武戦はワインドアップで投げて、3回3安打5四死球2失点と制球を乱した。実は、このワインドアップに、ある“変化”を余儀なくされていた。

「キャンプの時に審判から注意を受けまして。それで(ワインドアップの)形を変えたことで、タイミングのズレが出ているかもしれない」。詳細については語らなかったものの、松坂がワインドアップに入り、腕を上げた時の動作が注意を受けかねない、という指摘が審判からあったのだという。

 松坂の代名詞ともいえるワインドアップ。両手を頭上に掲げると、腰でリズムを刻む。2、3秒の”タメ”があってから、左足を上げる動きに移る。14日の西武戦では、そのタメの時間が短くなっていた。この両腕を上げた際のタメに、何らかの懸念を伝えられたのだろう。

「審判によって見解が違ったりもして。それから試合で投げても、ブルペンで見てもらっても言われていない。元の形に戻してみて、それで言われたら、それはその時に考えようかなと」。オープン戦最後の登板は、25日のロッテ戦(ナゴヤD)と目される。そこで松坂はいかなる答えを導き出すのか。復活に向けたキーポイントの1つとなるかもしれない。

(Full-Count編集部)

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